ミエと龍太
「で、実際に脱出するつたって何か良い案でもあるのか?」
「それを今から考えるの」
「あぁそうですか」
脱出する計画をたてるというからてっきり脱出方法を把握していてどういう手順で行うのかを話し合うのかと思っていた。
「みんな何か良い案はある?」
部屋の隅に固まって話し合いを始めたがみんな黙りコクってしまい誰一人話そうとしない。
「どうやらみんな昨日のことでまだ落ち込んでるようだな」
「昨日のことって?」
「あぁそういえば昨日のことは話してなかったな。実は昨日どうにかして脱出できないか試してみたんだ」
ここまで聞いて大体の内容は分かった。
おそらくあの兵士が言ってた脱出した奴がいるというのはこいつらの作戦がうまくいって脱出した奴なのだろう。
「それでどんな方法なんだ」
「試しにこの手枷を壊すことができないかなーと思ってミカの手枷を渾身の一撃で殴ったら呆気なく壊れてなそれで・・・・・・」
「それでそのミカって人が魔法かなんかで壁を破壊して脱出したと」
「その通りだ」
全くもって馬鹿げた話だ。普通こんな大男がいるなら手枷をもっと頑丈にするべきだろうに。
「それでこの手枷は壊せるということか」
「いや、昨日のことで今日の朝さらに頑丈な手枷をつけられてな試しにやってみたが壊すことは出来なかったぜ」
「そうか」
もしかしたらすぐにここから出ることができると思ったがそう簡単にはいかないようだ。
「今更だがミカって誰だ」
「ミカは私の二つ下の妹で攻撃魔法に関してはこの中では最強なの」
かなり強そうな感じだがそもそもミエの年齢を知らないため二つ下と言われてもわからない。
「おいミエ、お前自分の年齢を言ってないだろ」
「あっそうだね。わたしは二十一歳でミカは今年で十九歳なの」
マリオクのおかげで年齢がわかったが実際今知ったところで何か変わるわけでもない。
「話を戻すけどなんでこいつらは昨日のことで落ち込んでるんだ。別に手枷の取れたミカは無事脱出できたんだから落ち込む必要はないだろ」
「まぁそれもそうなんだが・・・・・・こいつらはミカが脱出したんで良かったのかてわ心配してるんだよ」
意味がわからない。一人が脱出できたなら自分達も脱出できるはずと思うはずだしもしかしたらミカが助けを呼んでくれる可能性だってあるはずなのに。
「ミカは気が弱くて一人じゃ何もできない子なのだからみんなミカが簡単に捕まって戻ってくるに違いないと思ってるの。自分なら大丈夫だったのにって思っている人がああして落ち込んでるの」
「そんなことで落ち込んでるとは情けない。過ぎたことを後悔しても意味がないだろうに普通ならそのミカって人を信じて待つだろ」
「そう言ってくれてありがとう。あの子はやるときはやってくれるからきっと助けを呼んでくれると思うわ」
姉というよりもまるで母親みたいな言い方だったがちゃんと妹のことを信じているようだ。
「おい龍太ずっと気になってたんだが、お前はなんで武器を持ったままこんなかに入れてるんだ」
やっと武器について触れてきたから説明しよる途中にミエが武器を取ろうとしてきた。
「たぶん無理だと思うぞ。ったく人が説明しよる時に」
「あっ触れたよ龍太」
「はあっ!?」
確かに槍の柄をがっしりと握っていた。
「おいおい龍太嘘はいかんぜ簡単にさわれてるじゃないか・・・・・・っ痛てっ!!」
ミエと同じように触ろうとしたマリオクだったがバチッという音とともに手を引っ込めた。
「どうなってんだよ」
「だからさっき説明しただろ神の細胞を持った人しか触れないって」
「えっじゃあ私が触れてるのって」
「たぶんミエが神の細胞を持ってるということだ」
ミエが武器に触れてるのは非常に良いことだ。
このまま背中の武器を取ってくれればここにいるみんなの手枷を一気に壊せるかもしれない。
「ねぇ龍太。このまま私がこの武器をあなたに渡せば私達全員の手枷を壊せるんじゃないの?」
その言葉を聞いた瞬間周りからざわめく声が聞こえた。
ミエの提案は自分も考えてたが今は駄目だ。この研究所で一体何をしているのかを突き止めるまでは。
「たしかにこの程度なら壊せなくもないが今はその時じゃない」
「えっ?」
今まで黙っていた奴らが急に騒ぎだしたがマリオクが落ち着かせてくれたお陰で静かになった。
「それでなんで今じゃ駄目なんだ? 俺ら全員の魔法ならこの程度の壁を破壊するのなんて造作もないぞ」
「そのぐらい俺でもわかる」
「ならなぜ?」
「単純にこの研究所で何をしているか突き止めるまではここから出るつもりはない」
その瞬間またかなりの批難の声が上がった。
そんなこと一人でやれ。や俺達を巻き込むな。などさまざまな声が聞こえる。
「まぁあそうなるわな」
こいつらの手枷だけでも壊してやろうと思いミエに武器を取るよう頼もうとしようとした時。
「私は龍太と一緒にこの研究所の目的を探るわ」
「なっ!? ミエお前何言ってんだよ全員で出られるチャンスなんだぞ!」
「そうかもしれないけど研究所の人達が龍太の武器を触れないなら後からでも遅くないと思うの」
まさかミエが賛同してくれるとは思っていなかった。
「俺もミエの意見に賛成だ」
「マリオクっ!」
「この研究所の目的を知ってそれを邪魔してから逃げ出すのも悪くねぇと思ってな」
マリオクまでもこちらについてくれたお陰か騒いでた奴らも静かになり五分ぐらい話し合ってこちらに協力してくれると言ってくれた。
「ありがとなマリオク」
「なぁに礼にはおよばねーよ。それよりもこれからはお前とミエのダブルリーダーとして俺達を引っ張ってくれよ」
「はっ、はぁーーーーーっ!!」
まさかこんなことになるまでとは思わずについ叫んだしまい周りから静かにと言われた。
「これから頑張っていこうね龍太」
あまり上にたって行動するのは苦手だがこれだけ頼もしい? 仲間ができたんだやれないことはないと龍太は心の中で思った。