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異世界で始まる英雄伝説  作者: 松原太陽
魔女の爪痕
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レイス

 「ここなら大丈夫だろう」

 ミカから魔女の呪いについて聞くべく翔天達は他の人に話を聞かれないように個室のあるカフェに移動していた。

 「ミカ、君の知っている魔女の呪いについて教えてくれないか」

 「わかりました」

 これから語られる事はとても信じられるものではなかった。

 「この国ではこの痣がある人は魔女の呪いにかかった人と疑われ体内の魔力量が一定の数値を超えると魔女の呪いにかかった人として研究所に連れていかれます」

 「うん。実際僕らの仲間の一人がそんな感じに研究所に連れていかれたから」

 「そうなんですか! ではその人も・・・・・」

 「ミカ?」

 急に暗くなるミカはまるで何かに怯えているようだった。

 「大丈夫? ミカ?」

 「あっ、すみません心配かけて」

 「で、ミカ実際魔女の呪いって何なんだ」

 「この痣は魔女の呪いにかかった証みたいなものですがそれは少し違います。この痣は魔女の力を分け与えられた証なのです」

 いきなり呪いではない別物だと言われ困惑する翔天達を気にせずに話し続ける。

 「研究所ではその力を調べるために私達を呪いにかかった人として研究所に連れていき人体実験を繰り返しているんです」

 「そ、そんなことって」

 彩姫の言う通りだ。それが事実ならこの国には国民たちに黙って何かとてつもない事をやろうとしているということだ。

 「魔女の力を分け与えられた私達のことをこの世界ではレイスという新たな種族として呼ばれています」

 「ちょっと待ってじゃあなんでこの国の人はそのレイスという種族を知らないの?」

 それは翔天も思っていた。恐らく自分達が知らないだけでレイスという種族はいたのだろう。だがこの国の人みんな魔女の呪いというのを信じていた。

 「この国は千年前とある一人の魔女と戦っていたそうです。さまざまな魔法を使う魔女に手も足もでずに一方的にやられていました」

 この国のことを知っているらしいミカは昔にこの国で起こったことを話し出した。

 「魔女との戦いに疲弊し敗けを覚悟したとき他の国から来た四人の英雄の前に魔女は死にました。ですが数百年後その魔女と同等の力を持つ人たちが世界中に現れその者達のことを差別の意味も込めてレイスと名付けられました」

 あまりにも哀しい出来事だがまだ話は終わってない。

 「ですが魔女と戦ったこの国はレイスの人達を魔女に呪われた哀しい人達だと認識しています」

 「なるほどだから誰も魔女について話したがらないわけか。つまりこの国ではレイスと言わずに魔女の呪いという言い方をしているってことか」

 「はいそういうことです」

 「ありがとうミカ。おかげで魔女のこともこの国のことも分かったよ」

 魔女の呪いについて全て話したミカは少し疲れていたので飲み物を持ってきてもらった。

 「ありがとうございます」

 「いいのいいのずっと話してたんだから」

 コクコクとコーヒーを飲むミカはやっと強張った表情から落ち着いた表情に変わった。

 「今度は研究所について聞きたいんだけど・・・・・・先に聞くけどミカは研究所から逃げたしてきたでいいんだよね」

 飲んでたコーヒーを机に置き頷く。

 「ねぇ今研究所には何人ぐらいいるの?」 

 「私を除けて十五人です」

 「龍太も行ったから今は十六人かー」

 「あのー図々しいかもしれないけど私のお願いを聞いてもらえますか?」

 いきなりそんなことを言われぽかーんとしていたが直ぐに気を取り直す。

 「いいよ言ってごらん」

 「研究所に捕まってるみんなを・・・・・・私のお姉ちゃんを助けて下さい!」

 少し間を置く翔天達に続けて言った。

 「私は研究所のみんなのおかげで逃げ出すことが出来ました。だから私はみんなを助けるために力になってくれる人を探してたんです」

 「なるほどそれで兵士から追われていたのか」

 「はい。危険なお願いをしているのは分かっていますけど私一人じゃみんなを助けられないからだから・・・・・・」

 必死にお願いをするミカだが翔天達はとっくに答えを出している。

 「安心して僕達が必ず研究所に捕まってる人達や君のお姉さんも助けてあげるからだから泣く必要はないよ」

 自分が涙を流していたことに気づいてなかったらしく慌てて涙を拭っていたが止めどなく涙があふれでていった。

 「ありがとうございます、ありがとうございます」

 涙を拭いながらお礼を言うミカの頭を撫で落ち着かせてあげる。

 「お礼なんて必要ないよ。僕達はもう友達なんだから」

 「あれ? アヤちゃん、もしかしてヤキモチを妬いてるの?」

 「えっなんで! 別に私はヤキモチなんて妬いてないよ」

 翔天とミカが仲良くしてるのを見て何故かモヤモヤした気持ちになっていたが決してこれはヤキモチではない。

 「へーそう」

 「な、何よ!」

 「何で君たちは喧嘩してるの?」

 どうやらミカの涙も止まったようで後ろを見た翔天は何故か口論をする二人に疑問を抱いていた。

 「別に喧嘩なんて」

 「あのねアヤちゃんがショウとミカにヤキ・・・・・・」

 「わー! 違う違うから!」

 慌てて星華の口を塞ぐ彩姫を不思議に思ったがどうやら喧嘩をしてたわけではないようだ。

 「で取り合えずこれからどうするの?」

 今の流れを完全になかったことにしようと話を進める彩姫を横目で見ながら今日は宿に泊、明日研究所の方に行こうということで翔天達はカフェから宿屋に移動する。

 

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