彼女を助けてお店にGO
「君のその痣って魔女の爪痕じゃ・・・・・・」
指摘され慌てて左手を隠す彼女は確実に龍太と同じ魔女の呪いにかかった一人のようだ。
「どうしたのショウ?」
「何、もしかしてその子に一目惚れ?」
「いや違うってこの子の左手に・・・・・・」
勘違いかそれともからかってるのか分からないが誤解を解こうとしたとき辺りをキョロキョロしながら兵士が歩いてくる。
「なぁあの兵士は何を探してるんだろな」
「あっホントだ。でも何を探してるんだろね」
兵士の話をしたとたんぶつかってきた彼女がビクッと震えたような気がした。
「どうしたんだ」
「・・・・・・てください」
「ごめん聞こえなかった。もう一回言ってくれない?」
「助けて下さい」
震える手を合わせながら今にも泣きそうな顔でお願いしてきた。
「えっ、助けてって誰から?」
「あ、あの兵士から・・・・・・」
恐らく彼女は魔女の呪いにかかっており研究所に連れていかれたくなくて逃げているのだろう。
「お願いします。助けて下さい」
「どうするのショウ?」
兵士がどんどんこちらに近づいてくるが翔天の考えは決まっている。
「決まっているだろ。助けてと言われたんだなら助けなきゃいけないだろ」
「ショウならそう言うと思ってた」
彼女は嬉しそうな顔をしお礼を言っていたがあまり時間が無さそうだ。
「取り合えずこれを着けて」
彼女に帽子とメガネを渡し左手の痣を隠すために革の手袋も渡したが念のために自分の着ているコートも渡した。
「いつのまにそんな物を」
「いやー何かあったときのために持ってきといたんだけど正解だったな」
「そ、そうなんだ」
若干呆れている二人を置いといて、渡された物を全て身につけた彼女は誰がどう見ても別人にしか見えない。
「これでいいのでしょうか」
「うん、大丈夫。たぶん兵士がこっちに来ると思うから君はあの二人の近くにいて」
分かったと言って彩姫と星華の近くに行った瞬間、兵士達がこちらに声をかけてきた。
「すみませんが先程、ピンク色の髪をしていて白い無地のワンピースを着た女性を見ませんでしたか」
「あーその人ですか。その人ならあっちに行きましたけど」
適当な方向に指を指した翔天を信じて兵士達は律儀にも「協力感謝する」と頭を下げて行った。
「もう大丈夫だよ」
「ありがとうございます」
「コートを着さしといて正解だったな」
「ホントね」
兵士が去りホッと一息をついた翔天達は彼女に何があったか聞くことにした。
「えーと・・・・・・・」
「待ってショウ。話を聞くのも大事だけど先にやることが二つあるよ」
彼女が話そうとしたのにそれを際切るように星華が話してきた。
「やることってなんだよ」
「それはまずこの人に新しい服を買ってあげることと名前を聞くこと」
確かにその二つは先にやった方がいいだろう。普通なら名前は先に聞くべきだし兵士は彼女の服装も把握しているから別の服の方がいい。
「星華の言う通りだな。ごめん僕の名前は翔天でこっちが彩姫と星華だよ」
彩姫と星華はよろしくと親しく接し握手もしていた。
「あ、私はミカと言います」
「ミカね。じゃあ次は服を買いに行こうかミカ」
星華がミカと彩姫の手を握り前出てきた。
「ねぇホノちゃん、私の手を握る必要はあるの?」
「あるよ。だって迷子になっても困るし」
「子ども扱いしないでよ」
「いーや星華の言う通りだからそのままにしとけよ」
わーわー口論する翔天達を見ていたミカはやっと笑ってくれた。
「あっすいません。笑ってしまって」
「別にいいよ。それに笑っている方が可愛いよ」
いきなりそんなことを言われ顔を真っ赤にするミカに首をかしげる翔天に彩姫と星華はヤレヤレみたいな反応をしている。
「何なんだよ」
「いやー別に」
「ショウは女の子を誉めるのが上手だなーと思ってね」
「そうか? 僕は思ったことを言っただけたよ」
「「ハイハイ」」
息を揃えて言ってきた二人になんで馬鹿にされてるんだと思ったが言ったら言ったで長くなりそうなため翔天達はミカの服を買いにお店に向かった。