間違えて災難?
帝都バーネリアの西にある港で翔天達は走っていた。
「ったくなんでこんな日にも寝坊するんだよ」
「わ、悪かったって」
今日、翔天達は中央大陸の覇権を持つ王都ギルガリアンに行く予定だったが翔天が寝坊したことにより中央大陸行きの船が今にも出航しそうだった。
「急がないともう船が出ちゃうよ」
焦る気持ちが一杯になるなか彩姫が急に左に曲がった。
「あっおい彩姫!」
呼び止める声も聞こえず彩姫はそのまま別の船に乗り翔天達もそれに続くように乗っていく。
乗ったと同時に船が動きだし出港した。
「何とか間に合ったね」
「アヤちゃん・・・・・・これ別の船」
「えっ!?」
星華が本来乗るはずの船に指を指しており彩姫はショックを受けていた。
「ごめんねみんな」
「まぁそう落ち込むな。もとはといえばショウが寝坊したのが原因なんだからな」
彩姫のフォローとともに翔天を責める龍太の口の悪さはいつも通りに発揮している。
「ごめん僕のせいだよな」
落ち込む二人を星華が必死に励ましたお陰で五分後やっと立ち直ることができた。
「いろんな意味で世話の焼ける二人だな」
「フフフ、そうだね」
馬鹿にされているようだったが今文句言うと倍にして返されそうなので黙っておく。
「それでこの船はどこに行くの?」
「たぶん北東の大陸にあるライナー王国行きのはずだ」
「ライナー王国ってどんな国か誰か知ってるか?」
さすがに龍太もどんな国までかはわからないらしい。
「あっ! 私知ってるよ。ライナー王国は世界最大の商業国家で主に獣人族が暮らしているんだよ」
同じ七年前にこの世界に転生したとは思えないほどの博識ぶりだった。
「その国って獣人族が北東の大陸の覇権を争ってたりするの?」
「ううん。昔は争っていたみたいけど五年前に王様が代わって以来、争いはないみたいだよ」
なんでそんなことまで知っているのかは置いといてとりあえず平和そうな国のようだ。
「なら、次の中央大陸の船までその国で休めそうだな」
「そうだな」
次の国が平和そうな所で安心していた翔天達だった。これからライナー王国でとある事件に巻き込まれることとは露知らずに。