お墓参り
朝早く翔天はとある高台に来ていた。
そこの先端にはこの世界の文字で“フレデリカ”と彫られた石が地面に垂直で埋められている。そうここはフレデリカのお墓だ。
翔天はお墓の前まで来て手を合わせていた。
「フレデリカ師匠、明日僕達はこの世界を救うため・・・・・・師匠のお願いを叶えるため旅立ちます」
フレデリカのお墓を高台にした理由はこの位置からだと帝都バーネリア全体が見渡せるからだ。
フレデリカはこの国を守るために戦ってくれた真の英雄だと翔天は思っている。だからフレデリカにはこの場所でみんなのことを見守ってほしいと思いこの場所を選んだ。
「しばらくはこうやってお墓参りは出来ないかもだけど僕は師匠のことは絶対に忘れません。だって僕には師匠が教えてくれた剣がある、言葉がある、それを覚えているかぎり僕は絶対に師匠のことは忘れません」
こうやって話していると次から次へとフレデリカと過ごした七年間の記憶がどんどん思い出していく。怒られたこと。誉められたこと。一緒にご飯を食べたこと。笑ったこと。様々な思い出が甦ってくる。
涙が零れそうになるのをぐっとこらえた。翔天は決めたのだもう泣かないと、泣くということはきっと誰かが死ぬときだから。
また誰かが死んで泣くのは嫌だ、だから強くなる。誰かを守れるぐらいに強くなる。だからもう泣かないそう決めていた。
「それじゃあフレデリカ師匠、僕はそろそろ戻ります。ここから見ていてください世界が平和になる日を」
帝都に戻ろうと高台を降りるとき何か気配を感じ振り替えるとお墓の前にフレデリカが立っていた。
何かの見間違いだと思い何回か目を擦るとお墓の前には誰もいなかった。
あれが自分の心が生んだ幻なのかは分からなかったが最後にフレデリカの姿が見れただけでもよかった。
「今までありがとうございました」
最後にそれだけを言い翔天は帝都に戻った。