七年後の異世界で
「うわぁぁぁぁ!!」
目が覚め辺りを見渡したが焼け焦げている人もいなければ燃える町中でもなく、そこは見馴れた自分の部屋だった。
「良かった、ただの夢か」
彼、松神翔天はホッと胸を撫で下ろし、時計を見ると時刻は八時を過ぎていた。
「えっ、ちょ嘘だろ!! やばい完全に寝過ごした!!」
慌ててベッドから下り、昨夜用意していた黒いズボンと白いTシャツに着替えその上から鉄の胸当てを装備し、ベッドの傍にある剣を腰につけ、最後に自身のトレードマークである赤いコートを着て急いで部屋を出た。
急いで集合場所に向かう最中、「早く行かないと殺されるぞ」 「今日は大切な会議があるんでしょ」 「よくこんな日に寝過ごせるなぁ~」などと近くにいた人達に言われ翔天は、適当に返しながら今日見た夢のことを思い出していた。
ーーあれからもう七年も経ったんか~。
七年前のあの日、翔天は他の人達と同じように正体不明の男によって殺された。が気づいたら見知らぬ森の中に倒れていた。
道が分からず途方にくれていたところを革命軍のリーダーに出会い助けてもらった。
素性の知れない自分を助けてくれただけでなく住む場所もくれたことは今でも感謝している。(革命軍の基地の中だけど)
そして、その人からここがどこか聞いたとき、自分が地球ではなく別の世界にいることを知った。
話によればこの世界は争いに満ち溢れておりこの場所も戦争中の真っ只中らしい。自分以外に倒れていた人がいないか聞いたところ同じ地球から来た人が他にもいるらしい。
何で死んだはずの自分がこんな所にいるのか分からなかったが偶然鏡を見たとき自分の姿が少し違っていたことに気づき自分がこの世界で転生したことがわかった。短かった髪は胸のあたりまで伸び、垂れぎみだった目も少しあがっていたがなにより驚いたのは女性みたいな顔立ちだったことだ。長い髪と相まってまるで女性のように見え、最初は女性に転生したかと思ったがただ見た目が女性みたいなだけで男だったので安心した。七年たった今は、身長も180センチまで伸び、長かった髪も短く切った。(それでもたまに女性に間違われる時もあるが)
今はこの戦争を早く終わらせるためこの革命軍の一人として日夜がんばっている。
そんなことを思い出しているうちに目的の部屋の前までつき、翔天は心のなかでリーダーがまだ来てないことを祈り部屋に入った。