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異世界で始まる英雄伝説  作者: 松原太陽
四人の英雄
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英雄伝説

 「四人の細胞の七割以上が神の細胞に変わっていました」

 フレデリカやカール、それに佳子までもが驚愕していたが当の本人達は平然としていた。

 「あれ?」

 どうやらエミールも翔天達が平然としているのを見て間抜けな声を出していた。

 「ねぇショウ、神の細胞って何?」

 ウンディーネは知ってるらしいがその契約者である彩姫は知らないらしく翔天に聞いてきた。

 「名前通り神様の細胞で、僕達の細胞の一部が神と同じになっていて身体能力が通常の人より高くなるんだよ」

 神の細胞について簡単な説明を受けた彩姫だったが、それでもフレデリカ達みたいに驚くことはなく、翔天達と同じように平然としていた。

 「あのー、何でみなさんはそんなに平然としているんですか?」

 翔天達四人はお互いに顔を見合わせ首をかしげた。

 「だって七割以上っていったらもう人ではなくもう別の人種なんですよ! それなのにどうして・・・・・・」

 エミールの言っていることは事実で七割以上が神の細胞ならもう人ではないだろうけど翔天達にとってはどうでもいいことだった。

 「別に僕らは人じゃなくても気にしないよ」

 エミールはまさかの返答に戸惑っていた。

 「だって、こうしてまた四人で一緒にいられるなら私はこれでいいから」

 続く星華にカールも戸惑っていた。

 「あぁ、それにこの神の細胞のおかげで死なずに今まで戦ってこれたしな」

 フレデリカや佳子はただじっと聞いていた。

 「たしかに体はもう普通の人とは違うのかもしれないけどそれでも心があるなら私達はみんなと同じだよって言っていけるから」

 ウンディーネは彩姫の答えが嬉しそうに笑っていた。

 「だがら僕達は、別に大丈夫だからみんなが心配することはないよ」

 翔天達にこう言われればさすがにエミールも言うことはなかったようだ。

 「わかりました。みなさんがそこまで言うなら私は何も言いません」

 エミールは会議中にすいませんでしたと、頭を下げると会議室から出ようとしたときこちらを振り返った。

 「私もみなさんが同じ人の体じゃなくても私は仲間だと思っていますから」

 笑顔にそう言うとエミールは会議室から出ていった。

 「ホントにいいのか?」

 フレデリカが心配して聞いてきたが翔天達の思いは変わらなかった。

 「はい、それに僕達四人がこうしてここに集まって、同じ力を持って、神器に選ばれたのもきっと意味があると思いますから」

 先程の暗い空気から一転して今はみんな決意の表情をしていた。

 「だから僕ら四人ならきっと出来る」

 「一人じゃ勝てなくても・・・・・・」

 「俺達四人が力を合わせれば・・・・・・」

 「勝てない敵はいない! よね」

 翔天は感じていた、これで本当に昔の僕らに戻ったんだと。

 「あっ、そう言えば」

 彩姫がなにかを思い出したらしく真剣な表情で喋り出した。

 「・・・・・・神器って・・・・・・何?」

 ズコッーン、まさかこの空気で今更そんなことを聞いてくるとは思わなかった。

 「ハハハ、相変わらずだな彩姫は」

 彩姫は頭を触りながら申し訳なさそうにしていた。

 「ふぅ~、神器って言うのは神が使った武器のことで神の細胞がないとまず触ることができないんだよ」

 翔天はそういいながら自分の神器をカールに渡したがカールは触れることができずに神器に弾かれた。

 「この通り触れようとすれば弾かれるんだ」 

 「その前にカール様で試すのはどうかと思うんですが」

 佳子の威圧に翔天は圧されていたがすぐに謝り立て直すや話を続けた。

 「で、神器に触れても神器が認めなかったら扱うことはできないんだ。僕らは神器に認められてるみたいだから使えるだよ」

 ふむふむと彩姫は頷いていたがまだ神器について知りたいことがあった。

 「大体わかったけど・・・・・・神器って普通の武器とどう違うの?」

 これに関しては、翔天もあまりわからないので神器に詳しいフレデリカにパスした。

 「はぁ~、仕方がないな。神器は普通の武器と違ってオリハルコンという伝説の金属でできているんだ。さらにお前達が使っている神器は昔の英雄が使った武器なんだよ」

 「えっ、本当ですかそれ!?」

 まさかの事実に翔天だけでなく龍太達も驚いていた。

 「今まで黙っていてすまなかったな。この話は神器使いが四人揃った時にしようと思っていてな」

 どうやら僕達の神器が英雄が使っていたことを知っていたのはカールとウンディーネ、それに佳子もだった。

 「佳子ー、知ってたなら教えてくれてもよかったじゃーん」

 ごねる星華をなだめながらフレデリカは懐から一冊の本を取り出した。

 「フレデリカ師匠、その本はいったい?」

 取り出した本はかなり古びておりなんページか破れていた。

 「これは英雄の書っていって英雄についてのことが書かれている本なんだ」

 英雄の書をめくりフレデリカは本の内容を読み出した。

 「世界が争いで満ちるとき、それを止めるべく神器を持った四人の英雄が舞い降りこの世界を平和に導くであろう。・・・・・・これは一つの予言みたいなものなんだが・・・・・・これお前達のことだとは思わないか?」

 驚きのあまり声がでなかった。

 この世界で大規模な争いが起こったのが十年前らしく、翔天達は争いが起きて三年後にこの世界に転生している。

 「たしかに私達がこの世界に来た時期と争いが始まった時期は近いけど・・・・・・」

 「俺達だっ! ていう理由がねーしな」

 龍太と彩姫だけが信じきれていなかったがフレデリカが次のページをめくるとそのページにはある四つの神器が載っていた。

 「これって・・・・・・俺達が使っている神器にそっくりだ」

 ページに載っている神器は翔天達が使っている神器と同じでさらに次のページから個別で神器の詳細が載っていた。

 「これでお前達の武器が英雄の使ってた物だってわかっただろう」

 ここまでくれば信じるしかなく彩姫はすんなり信じたが、龍太がまだ何か納得いってないようだった。

 「なぁフレデリカはどうしてそこまで英雄の書のことを信じられるんだ。・・・・・・まさか昔、今みたいな争いが起こって予言通り英雄か現れて救ったわけじゃねーだろ」

 「そうだ。龍太の言う通り昔、大きな争いが起きたとき四人の神器使いが争いを終わらせている」

 仮説でいった本人が一番驚いていた。

 「大体今から千年ぐらい前に魔族と人の争いがあったらしくその際に神器使いの四人が魔族を倒し争いを終わらせたと文献で残っている」

 だが、その文献が帝都の城の書庫にあるらしく現物が手元にないらしいがなんとか龍太も信じてくれて一同は話を神器の説明まで戻った。

 「で、このページにはお前達の神器の名前と特徴が書いてある」

 最初は、星華のが載っていた。

 「海瀧(かいろう)リヴァイア、魔力を跳ね返し爪先の刃はありとあらゆるものを切り裂く・・・・・・だって、すごいねこれって魔法を跳ね返せるんだね、知らなかったよ」

 次に龍太の神器が載っていた。

 「魔槍(まそう)ゲイ・ボルク、魔力を蓄えることにより何倍にも力を増すか・・・・・・なるほど俺にピッタリの武器だな」

 次は彩姫のだった。

 「聖撃(せいげき)グリフィー、その一撃は大地を砕き刃は使い手の意思により鋭さを増すってこれ刃物なんてついてたの!?」 最後に翔天の武器のはずだったが次のページはなく残ってた部分も文字もかすれて読めなかった。

 「なんで僕のだけ?」

 「まぁそんなに気を落とすなよ」

 「そうだよ。ショウの神器だってきっと私達のと同じで凄い力があるはずだから、ねっ!」

 二人の励ましが今は辛かった。

 「でもまぁー、ショウはともかく私達三人の神器の特徴がわかっただけでもよかったね」

 彩姫の心の無い一言がよけいに翔天を傷つけた。

 「これならアルナールに勝てるかもしれませんね彩姫」

 ほんの僅かでも勝てる希望が見えてきた瞬間、また急に誰かがドアを開けた。 

 「き、緊急事態です!」

 今度は伝令ががりの兵士だったがかなり息が荒れており呼吸を整えていた。

 「どうした何があったんだ!」

 兵士は、息を整えフレデリカに報告した。

 「き、昨日皇帝陛下が病死しハァハァ・・・・・・あ、新たにアルナールというものが即位したと偵察の者から連絡がありました」

 翔天達は気づかなかった、既にアルナールの悪魔のシナリオが進んでいたことに。

 

 

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