戻ってこい
「僕は星華の事が……」
必死に声をかけるが抱き締める星華はまだ暴れている。
「無駄です。無駄なんですよ~!」
「させない!」
アストロギアの妨害をミカは頑張って食い止めてくれている。けど、だんだんと圧されている気がする。
「頼む星華、聞こえてくれ。僕は星華の事が好きだ!」
自分の本音を打ち明けたとき、暴れていた星華はピタッと動きを止めた。
「僕は誰にでも優しくていつも笑顔な星華が好きだ。幼馴染みとして……仲間として、僕は星華が好きなんだ! だから戻ってきてくれ星華!」
これが聞こえたのか分からない。その時だった。アストロギアの一本の触手がこちらに向かって伸びてきていた。
「油断大敵ですよ、お二人とも~!」
「しまった!」
「ショウ危ない!」
この状況ではなにもすることができない。剣で反撃することも、そして僕の属性解放術でも防ぐことはできない。万事休すだ。せめて星華だけでもと体を離して押し飛ばそうとしようとしたがボソリと懐かしい声が聞こえた。
「……属性解放・氷神」
僕と星華を囲むように氷の壁が出現し、闇の触手を弾く。
「なん……ですと!」
さすがにこれは想定外らしく、アストロギアのどよめく声が聞こえる。
「星華……もしかして……」
「私も……」
下げていた両手を僕の体に回し、強く抱き締めてきた。
「私もショウの事が好き! 幼馴染みとして仲間として、私はショウが好き!」
「星華!」
嬉しさのあまり僕はまた強く抱き締めた。星華が……僕の知っている星華が戻ってきたんだ。それが嬉しくて抱き締める以外、嬉しさの表現をできなかった。