聞こえてくる声
戦いよる最中だった。あの声が聞こえたのは。
"何故、そこまでして彼女を救おうとするのだ"
あまりにも急だったため驚き、二発ぐらい蹴りを入れられたが致命傷ではないため良しとする。
どんなに頑張っても聞くことのできなかったあの声が今になって聞こえるのはわからないがとりあえず質問されたので答える。
――それは星華が僕にとってかけがえのない大切な仲間だからだ。
"自分とは種族の違う者であるのにか?"
種族違い。確かに星華はエルフという永遠の時を生きると言われる種族。だが、それでも星華には変わりない。
――ああ、たとえ星華が魔族であっても星華は星華だ。だから僕は星華を助けるんだ。
"行き過ぎた行為は後に自分の身を……周りをも滅ぼすぞ。あの時みたいに"
あの時……それはフレデリカ師匠が死んだことを言っているんだろう。あれは怒りで周りが見えていなかった自分の責任。この声の主が元素の精霊ヴェルズムなら忠告してくれているのだろうか同じ過ちを繰り返さないように。
――大丈夫だ。僕はもう、あの時みたいな失敗はしない。フレデリカ師匠が命懸けで僕を助けてくれたように、今度は僕がみんなを助けると誓ったんだ。だから僕は星華を助けるんだ。
返事はなかった。それが賛同してくれているのか否定しているのかはわからないが話が終わったのは間違いないはずだ。
――見ていろよ。僕は星華助け出すからな。
ミカの魔法により辺りが黒煙に包まれる。星華の気配を察知し僕は、星華を包み込み助けるという意味を持って近づく星華に抱き付いた。