発見
今のこの時間帯は昇っていた日が沈みかけ、夕日となり世界を赤く照らしている頃だ。
だが、ショウ達の居る場所は照らされておらず、暗かった。
「気を付けて進むぞ。ここら先は何が起こるか分からないからな」
「う、うん……」
アルナールに教えてもらった魔族の拠点。数時間前にその場所である山にやって来ていた。特に拠点らしきものもなく、辺りを散策していると山にあった人工的に作られた扉を見つけ、潜ってから全く罠とかも無く進んだショウはそろそろ何かあると思い、辺りを警戒する。
さすがに魔族の拠点ともあれば見張りや罠があると思っていたがいくらなんでも何もないのは予想外だ。
「何もないね」
「そうだな……けど、油断だけはダメだぞ」
そう、油断した瞬間に襲われる可能性だってあるんだから。
でも、いくらなんでもおかしすぎる。封印の鍵である星華を守るために魔族が大量に配置されているはずなのだが……。
「ねぇ……この先、大部屋になっているよ」
暗くてよく見えないが確かに広そうな部屋みたいだ。
「他に道がないみたいだし……辺りに気を付けながら行くぞ」
ゆったりと進み、ひらけた部屋に入る。そこは魔女が復活した場所と比毛をとらないぐらい大きかった。
「ここは……」
見渡しても他に道は見当たらない。どうやらここで行き止まりのようだ。
「他に何ヵ所か道があったし……戻るか」
「そうだね」
踵を返し、元来た道を引き返そうとしたときあの不気味で耳障りな笑い声が聞こえてきた。
「イヒヒヒヒ……やっと来ましたか。貴方達ならきっと彼女を取り返しに来ると思ってましたよォ~」
「この声は……!」
振り返ると部屋の中央に灰色のローブを纏ったアストロギアが突っ立っていた。
「アストロギア!」
あいつを見るだけで憎悪が沸き上がってくる。
「……! ショウあれ!」
ミカの指差す先……アストロギアの隣には全体的にボロボロで服も擦り切れ、乱れた銀色の髪のせいで顔は見れないがあれは紛れもなく――。
「――星華!」