走り続ける
龍太は走っていた。昨日見た、美しい街並みも魔族の襲撃のせいで建物は崩れあちこちから火が上がる。瓦礫に下敷きになった人もいたが近隣の兵士達が優先的に救助をしているため、そちらには気にせずに走り続ける。
別に何処かに行こうというわけではない。こうやって走るのは一刻も早くこの国に攻めてきた魔族を殲滅するためである。
「おい人間がこっちに来たぞ」
真っ直ぐ前を見ると二三人の魔族が舌を出しながら不敵に笑っていた。
きっと人間である龍太をなぶり殺すつもりなのかもしれないが龍太はあの程度の魔族は眼中になかった。
「属性解放・雷神……」
周囲に現れた雷を自分の足に纏うイメージをし、槍を構えると龍太は強く足を踏み込んだ。瞬間、龍太は消えるとと同時に魔族達の後ろに現れるとそのまま走り続ける。
「…………」
龍太の行動に呆気からんとする魔族だが目をパチパチさせると我に返り後を追おうとするが一歩踏み出すと魔族の首がパックリと裂け大量の血を吹き出した。
「…………ッ!」
叫び声も出すことが出来ずにもがき苦しむ魔族達は全員その場にドスンと倒れた。
「うぐっ……!」
ズキンと軋むように体が全体が痛い。一瞬とはいえ本来なら不可能な速さで動いたため身体中が悲鳴を上げる。だが龍太は痛みを堪え止まることなく走り続けた。