次の精霊の所へ
「魔族の大軍がこの大陸に!?」
ウンディーネの口から出た言葉は簡単に信じられるものではないがウンディーネはあまり質の悪い冗談を言わないため本当なのだろう。
「アストロギアの野郎、封印の扉を見つけるためについに強行手段にでやがったな」
「じゃあやっぱりアストロギアには封印の扉が何処にあるのかある程度見当を付けているってこと?」
「ああそうだろな」
魔族が攻めてきた。それだけで彩姫の中で色々な不安がよぎる。王都には龍太とミエが近くの森にはショウにミカに心結がいる。みんなが強いのは分かるが魔族は一人一人の力が強く、そんな奴等が大軍で襲ってきたのならもしかしたら敗けるかもしれない。
「・・・・・・アルナール、ウンディーネ、サラマンダー、早く次の精霊の所に行こ」
「いいの彩姫?」
ホントは今すぐにでも戻りたい。でも今戻るわけにはいけないのだ。
「うん。私がみんなのとこに戻るとき、それは残りの六人の精霊と契約したときよ」
「そうか。なら早く次の精霊の所に行くぞ」
「うん」
次の精霊の所に行くため洞窟を抜け出そうとしたときサラマンダーが「待て」と目の前に立ちはだかった。
「おい何で邪魔をするんだよ」
「そうだよ。私達は早く次の精霊の所に行かなきゃいけないんだから」
「それは分かっておる。だがここから歩いて次の精霊の所まで行くのにはかなりの時間がかかるぞ」
「そんなの分かってるから急いでるんだろ」
サラマンダーの言っていることに腹を立てるアルナールだがサラマンダーはそんなのをお構いなしに彩姫達の反対側に進んでいく。
「着いてこい。この先にある俺の祭壇から行けば一分もかからずに次の精霊の所に行けるぞ」
「なに!? それはホントか!」
「フンッ、嘘だと思うのなら着いてくるのだな」
それだけ言うとサラマンダーは大部屋の奥に姿を消したのだ。
「どうする?」
「はッ、そんなの決まってるだろ? 一分で行けるなら行くに決まってるだろ」
そう言うとアルナールはサラマンダーの後に続き、私もウンディーネと一緒に大部屋の奥に行った。