特攻
「ヌンッ!」
「くっ・・・・・・!」
寸前のとこでサラマンダーの拳を避けるアルナールだが微かに頬が焦げていた。
「大丈夫?」
「あぁ心配はいらねぇ。けどやりにくいなあれは」
サラマンダーの戦いかたは見た目通り素手で戦う肉弾戦派だがサラマンダーは彩姫と同じ様に拳に炎を宿しており、ギリキリの回避では皮膚の表面が焦げてしまう。つまり一発でも直でもらえば終わりということだ。
「どうした人間よ。この程度で俺と契約しようとしたのか?」
余裕な表情でこちらを見下すサラマンダーにイラつくアルナールは何を思ったのかサラマンダーに一直線に突撃していく。
「ちょっとアルナール!?」
「彩姫! 俺の動きに合わせろ!」
「合わせろって、一体どういうことよ」
アルナールの意図が上手く汲み取れず戸惑う彩姫だがアルナールはそんなのもお構いなしに属性解放術を使っていた。
「これにどう合わせろって・・・・・・」
恐らくアルナールの頭の中では自分がサラマンダーと接触する瞬間に彩姫が何かをするのを期待しているはずだ。でも考えたところですぐにはどうすればいいかは分からない。ならここは自分を信じて直感で動いた方がいい気がする。
「やってやるわよ」
考えるのを止め直感で行動すると決めた瞬間、体の底から力がみなぎってくる感じがする。
きっとアルナールの特攻は私にサラマンダーを倒すための一瞬の隙を作るためだ。なら確実に一撃で仕留めるつもりでなければ勝機はない。
「チャンスは一回だけ・・・・・・でも一回あれば十分!」
そして私はアルナールの後に続くように走り出す。