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気持ちの底
ここは何処なのだろうか。辺りは暗く海の中にいるような感じがする。
どんどん体が海の底に沈んでいく気がする。急いで上がろうとしても体が言うことを効かず動かすことが出来ない。
でも不思議と息苦しさはなかった。まるでこの海にだけ酸素があるような感じだ。
なら何故、自分はこんなにも海に出たがるのだろうか? 酸素があるならこの海に身を預けるほうが心地いい。
そう思うと抗うのも馬鹿らしくなり体を丸め海の底に沈んでいく。
あぁこんなにも気持ちのいいことがあるのだろうか。今までの辛い気持ちが全部無くなっていくようだ。
けど何か忘れているような気がする。とても大切な忘れてはいけないことを。
「・・・・・・」
海の上から声が聞こえる。でもそんなことはどうでもいいや。このまま海に身を預けて辛い気持ちを癒す方が私はいいや。
だからもう私のことは放っておいてほしい。
もう私に辛い思いをさせないで。
私を・・・・・・星華を一人にして頂戴。