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一方その頃龍太は
「どうしたのだ? 英雄の力とはその程度のものなのか」
そう言いながら片手に持つ太刀を両手で握り直し太刀と思えないスピードで攻撃をしてくる。
「くっ・・・・・・」
その攻撃も槍で全部捌くも、一太刀一太刀の威力が大きすぎて腕が何度も痺れそうになる。
「龍太!」
「この程度、大丈夫だミエ」
後ろで心配するミエが回復術を施そうとしていたがまだそれほど傷ついているわけでもないので拒否する。
「ほう今のも防ぎきるか。だが守ってばかりでは本当に守りたいものは守れないぞ!」
太刀を上段に構え突進してくるに対して俺はやや低めに槍を構え迎撃体勢をとる。
「うるせー! そんなことは分かってんだよ王様!」
降り下ろした太刀と振り上げた槍が俺と王様の目の前でぶつかり合う。
「おお! 王のあの一撃にも耐えるなんて」
「あいつは本当に英雄なのか!?」
周りの兵士達がこの光景を見てうるさいぐらいにざわめきあっていた。
そもそも何故俺と王様がこうして戦っているとかというと数十分前まで遡ることになる。