110/142
洞窟の入り口で
「やっと着いたか」
森を抜け、目の前に広がるのはとても登ることなどできない断崖絶壁な岩壁があり、一ヶ所だけ洞穴みたいな穴が開いていた。
「あそこが入り口なのかな?」
「たぶんそうだろうな」
ウンディーネが言うには火の精霊サラマンダーはこの洞窟の奥に居るらしいのだが、ウンディーネはどうもサラマンダーとは会いたくないらしく姿を出して道案内をしてくれない。
「きっと洞窟の中は複雑な迷路状態になっている可能性がある。だから絶対に迷うなよ」
「わ、分かってるよ。それにこのロープのせいでアルナールの行った所にしか行けないし」
見せつけるように右手にくくられているロープを俺の前に出し、一体いつになったら外してくれるんだと言わんばかりだ。
「じゃあ時間もあまり無いことだし行くか」
「えっ? ちょっといきなり歩かないでよ」
彩姫との足の出だしのタイミングが合わず、後ろで彩姫が転けそうになりながらも必死に着いてくる。
この先にいるはずの火の精霊サラマンダー。一体どんな奴なのかほんの少しだげワクワクしている自分がいた。