方向音痴炸裂
「おいどこに行こうとしてんだよ」
「え?」
森が生い茂る道を進んでいくなか目的地の逆方向に進もうとした彩姫の肩を掴みはぐれるのを阻止する。
「お前は何回道を間違えれば気がすむんだ!」
「し、知らないわよ! 私はただアルナールの言われた通りの道をあるいてるだけよ」
「じゃあなんで俺が右に行くって言ったらお前は左に向いて歩いてるんだよ!」
彩姫のあまりにもひどい方向音痴に何度も怒るも、当の本人がほぼ自覚なしなため言っても無駄だった。
「まさか方向音痴のやつといるとここまで面倒になるとは思ってなかったぜ」
彩姫が道を間違えたりしてなければ今頃は精霊の一体と出会っているはずなのに、この調子では全部の精霊の出会うのにどれだけの日時がかかるのだろうか。
「仕方ない。これだけはやりたくなかったが・・・・・・」
「ちょっ、何するのよ!」
俺は懐から一メートル位のロープを取り出すとそのロープを彩姫の右手首にくくりつける。
「こうでもしないと精霊のとこまで全然行ける気しないんでな。悪くは思うなよ」
そう言って俺は彩姫にくくりつけてるロープのもう片方の部分を自分の左手首にくくりつけ犬とその飼い主の状態になる。
「これなら間違えて迷うことはないな」
「むむむ~」
このやり方に不満を持つ彩姫だがこうするしか方法がないため俺は彩姫の顔を見ることなく先頭を歩き、この先にいるという火の精霊サラマンダーのいる洞窟に向かう。