観光中
俺らは宿屋探しのついでに街観光をしているなかアクセサリーなどが並ぶ露店にいる。
「それ気に入ったのか?」
「えっ、なんで?」
「いやだってずっと見ていたから」
その露店でミエは両翼の中心にある紅い宝石のついたのペンダントを見ていたのだ。
「う~んどちらかといえばこのネックレスはミカに合うかな~って見ていたのよ」
「そうか。それでそのペンダントはミカに似合いそうなのか?」
「う~んビミョーかな? ミカには少し派手すぎるかもだし」
ミカの性格上この紅いペンダントはたしかに派手だ。このペンダントならショウの方が似合いそうだ。なんたって赤色なんだからな。
「あっ、でもこれは龍太に似合うかも」
「ん? どれだ?」
「これ、このペンダント」
ミエが並んでいるアクセサリーの一つを取り、俺に見せてくる。
ミエの言うアクセサリーは丸い紫色の宝石がついたペンダントで銀縁がとてもいい味を出している。
「シンプルで悪くないな、それ」
「やっぱりそう思うよね。すみませーんこのペンダントください!」
「はっ!?」
「あいよ! まいどあり!」
ミエはすかさず店主にお金を渡しペンダントを買った。
「はい龍太。これ私からのプレゼントね」
「プレゼントって・・・・・・一体なんで?」
ミエのとった行動に俺は全く理解することが出来なかった。
元々はここにいないショウ達のプレゼントを買うつもりだったのに何故俺のなのだろうか。
「なんでって・・・・・・プレゼントを渡すのにいちいち理由がいる? 単純にこのペンダントが龍太に似合うと思って買っただけなんだから素直に受け取りなさい」
強引に俺の手にペンダントを握らせたミエは二歩後ろに下がり手を後ろに組む。
「でもまぁ・・・・・・強いて言うなら助けてくれたお礼かな」
「そうかそれなら何も聞かず素直に受け取るよ」
俺はさっそくいただいたペンダントを着けてみることにした。
「・・・・・・それと私の気持ちも込めてなんだけど・・・・・・」
「ミエ、今何か言ったか?」
ペンダントを着けよる途中にミエが小声で何かを言ったような気がしたのだが、ミエは「何も言ってないよ」と俺から数歩さらに距離を取る。
「龍太、早くみんなの分を探しに次の店に行くよ」
「おい待てよミエ! 宿屋探しがメインだというのを忘れるなよ!」
次の店へと走るミエを追いかけるため俺も走る。こんな風にミエとわいわいできるのも今の内だけかもしれない。だから俺は今日一日はミエに振り回されてもいいと思っているのだ。