お風呂で女子トーク?
「アヤちゃんと一緒にお風呂に入るの久しぶりだね~」
彩姫と一緒にお風呂に入るのが嬉しいようで星華は先程からかなり上機嫌だった。
「そうだね。はぁ~、やっとお風呂に入れる~」
「よかったねアヤちゃん。それに今は、誰もいないみたいだから貸切状態だね」
お風呂場には、誰もいなく脱衣場には、彩姫と星華しかいたかった。
星華ならまだしも知らない人に裸を見られるのは流石に恥ずかしく、誰もいないこの状態は彩姫にとってはかなり喜ばしいことだった。
服を脱ごうとした瞬間、ガチャ...っとドアの開く音がした。
ドアの方へ振り向くと、そこには全身着ていた鎧をはずし両手には着替えとお風呂セットを持っているフレデリカがいた。
「ん? なんだお前達もこれからお風呂に入るのか?」
「うん、そうだよ。ここにいるということはショウの特訓はもう終わったの?」
「あぁ、流石にこれ以上は私の方がきついしな」
脱衣場に入り、フレデリカは全身汗だくで早く汗を流したいようだった。
「フレデリカと一緒に入るのは初めてだね」
バスタオル一枚の星華はわざわざ彩姫とフレデリカが脱ぎ終わるのを待っているようだった。
「たしかにそうだな。星華はお風呂に入るのが早いし、私はいつもこの時間帯に入ってるからな」
フレデリカもバスタオル一枚の姿になりまだ脱いでいない彩姫を星華と一緒に待っていた。
「アヤちゃんも早く早く!!」
星華に急かされ彩姫は羞恥心を捨て服を脱いだ。
お風呂場は意外と広く、一度に十人ぐらい入っても余裕そうだった。
「アヤちゃん、私があっちで背中流してあげるよ」
「別にいいよ、一人で出来るから」
星華はショックをうけたようでうなだれていた。
「そんな冷たいことを言わずに流してもらえばいいだろ」
フレデリカにそう言われしぶしぶ星華の方にいった。
「そんなに固くならなくてもいいよ。私を信じて背中を預けていいからね」
その言葉を信じていたがいきなりムニュ...っとお腹をつままれた。
「ひゃうっ・・・・・・ちょっといきなり何するのよ」
「ごめんね。ちょっと気になって・・・・・・」
口では謝っていたがあまり反省はしてないようだった。
「もういいよ! 信じた私が馬鹿だった!」
そんなやり取りを見てフレデリカは笑っていた。
そんなこんなで体と頭を洗い終えた三人は湯船に浸かっていた。
「ほんっとごめんね。ちょっとムカつ・・・・・・なんか柔らかそうだからついね」
「今なんて言おうとした! ムカつくって言おうとしたよね!」
未だつままれたことを怒っている彩姫だが、星華がムカついてやったことで余計許すのが難しくなった。
「ねぇ、私のどこがムカつくのよ!」
「・・・・・・たし・・・・り・・・・・・ねが・・・・・・きいこと」
ぼそぼそ喋る星華についに限界がきた。
「聞こえない! はっきり言って!」
「私より胸が大きいからよ!!」
温かいはずなのになぜか一瞬この場が凍ったような気がした。
「えっと・・・・・・そんな理由で?」
「私にとっては一大事だよ!!」
初めて星華の叫び声を聞いて彩姫とフレデリカは不覚にもビビってしまった。
「だってまさかアヤちゃんと胸の大きさでこんなに差があるとは思わなかったんだよ!」
「なるほどたしかに服の上からだと胸の大きさは分からないな。彩姫って意外と着痩せするタイプだったんだな」
フレデリカは何か納得しているようだったが星華は不機嫌なままだった。
「私だって好きで大きくなったわけじゃないからそんな不機嫌になっても困るよ」
「駄目だ!彩姫今それを言っ・・・・・・」
フレデリカの制止も虚しく星華は彩姫に飛びかかっていた。
「ごめんね取り乱しちゃって」
星華もやっと落ち着いてくれたようで今は、ちゃんと反省しているようだった。
「ううん、別に気にしなくていいよ」
星華と彩姫が仲直りしてくれてフレデリカも一安心だった。
「フフ、今日は星華の意外な一面が見れたな」
そんな他愛もない会話していたら彩姫は、星華がずっと左目を隠しているのが気になっていた。
「ねぇなんでホノちゃんは、ずっと左目を隠しているの?」
星華はすぐには答えずその顔はいつもの明るい表情とは違って暗かった。
「あの、なんかごめんね。いいたくないなら別に言わなくていいから」
「そうだな。人には知られたくないことが一つや二つあるからな」
フレデリカがうまく繋げてくれたおかげでその場はなんとかなったが、星華が何かを呟いていたことに彩姫は気づかなかった。
「そ、そうだ。彩姫に聞いておかなきゃいけないことがあるんだった」
フレデリカが無理に話題を変えようとわざとらしく彩姫に話をふった。
「彩姫はこの革命軍に入るかどうか明日までに決めてほしいんだ。別に入らなかったからといって追い出すつもりはないからそこのところは安心してくれ」
これは彩姫にとって大事なことだった。
彩姫の目的は、自分の居場所を奪ったある人物に復讐することでその目的のためにはこの革命軍に入る必要はないはずなのにみんなと出会ってその復讐心が揺らいでいた。
「何、焦る必要はない。一晩じっくり考えてくれればいいから」
「ねえ、ホノちゃんはなんで革命軍で戦っているの?」
翔天や龍太、星華が革命軍で戦っている理由を彩姫は知らなかった。
「この世界を救いたいから」
シンプルな答えだった。
彩姫は、復讐のことしか考えていなかったのに星華は世界を救うと言って彩姫とは、考えてる次元が違った。
「すごいんだね、ホノちゃんは」
「そんなに凄いことじゃないよ。私だって最初はそんなこと考えて無かったけど、ショウがこの世界を救いたいから戦っているって言ってたからそれに共感しただけだから」
理由はどうであれ立派なことにはかわりがない。
のぼせたのかフレデリカは浴槽の縁に腰を掛けていた。
「たしかに翔天はそれを目標にしていたな。それに翔天は、『大切な人を守れるために強くなりたいんだ』とも言ってたいたな」
「へ~そうなんだ。ショウの大切な人って誰なんだろ」
どうやら星華も知らないようでもちろん彩姫も知る由もない。
「フレデリカさんはショウのことをどう思っているんですか?」
気づいたらそんなことを聞いていた。革命軍の話とは関係ないことなのに聞かずにはいられなかった。
「さん付けじゃなくて呼び捨てでいいよ。・・・・・・何て言うんだろ私にとって翔天はこの世界を変えてくれる人だと思っている」
そのフレデリカの顔は何か絶対的な自信があるように見えた。。
「そうなんだ。ちなみに私のことはどう思っているの?」
「フフッ、私は星華と龍太も翔天と同じぐらい思ったいるよ。そして彩姫、君のこともだ」
急に自分の名前が呼ばれドキッとした。
「なんで・・・・・・私とは今日会ったばかりなのに・・・・・・」
「それは君たちが特別だからだよ」
何が特別なのかを聞こうとしたとき、脱衣場から物音が聞こえそちらに視線がいった。
「誰だっ!!」
フレデリカが叫ぶと脱衣場から「やべぇ。」「逃げるぞ。」と声が聞こえてきた。
「もしかして覗き!」
星華の勘は当たっており外から逃げる音が聞こえた。
「逃がすかっ!!」
勢いよく出るとそこには翔天がいた。
「なんでショウがここにいるの?」
「ちょっと待ってこれには深い訳があるんだ」
必死に弁明している翔天の言葉は三人には届いていなかった。
「所詮ショウも男だってことなんだね」
「私も君のことは信じてたのにとても残念だ」
星華もフレデリカもかなり幻滅していた。
「ま、待ってまず話を聞いてくれ!」
「問答無用!!」
翔天の話を聞かず彩姫は翔天に鉄拳制裁した。
後から龍太に聞いた所、翔天は覗きをしようとしている奴を見つけてそれを止めようとしたら彩姫達に出会したようだ。
そうとも知らずおもいっきり顔面を殴られた翔天は明日の朝まで目を覚ますことはなかった。