知らない奴
臣が芝山一郎に会ったことがあると知った後、ヒマだったので家の最寄り駅にあるアトレに行くことにした。
家から出ようとした時、背後で臣が声をかけてきた。
「ゴディバのチョコ買ってきて」
「・・・・・」
私はそのまま何も言わず玄関の戸を閉めた。
誰が買うか!そんな金はない。
日曜日の昼だからか、駅の所は人で賑わっていた。アトレの中も混んでいる所が多かった。
特に目的があったわけでもないので、とりあえずエスカレーターで上に行き、本屋に行くことにした。
上がると目の前には1つのフロア全部を使った本屋が広がる。
ほどほどに人がいた。
ここが混むのは意外と平日の夕方頃とかだ。休日は空いているのだ。
本屋は広い分、品揃えも豊富で陳列にも拘っているので見やすく探しやすい。私は結構ここの本屋を気に入っている。
新刊コーナーに行った。
「あ」
持っている漫画の新刊が出ていた。
何も買う気が無かったので手持ち金は千円しか無かったが、買えなくは無いので買うことにする。
漫画を手に取った時、隣に人が並んだ。
ちらっと隣に目を向けてみる。
「!」
ガタイのいい、金髪のイケメンがいた。反射的に身体がビクつく。
その金髪イケメンは私が手に持っている漫画を見ていた。
私は漫画を見直した。
なに、何かあるの?この漫画に・・・
ただの少年漫画だ。青春系の。変なモノでは無い。
何か私、変なことしたかな・・・
なぜ私が手に持っている漫画を見ているのか。なんだか気まずくなってしまう。
数秒の沈黙があった。
先に動いたのはガタイのいい金髪イケメン。
何も言わずに雑誌コーナーに歩いて行った。
私はその背を見送り、ほっと胸を撫で下ろす。
「一体、なんだったんだ」
見たこと無い顔だった。多分。地元の人間ではないのかもしれない。
二度と会うことはないだろう。
さよなら、金髪イケメン。
私はレジに向かった。
コイツは誰だ!