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美形はおかずです。

私もです。


 「あっ、直也くんだ」




 家路の中、駅前で赤髪を見つけた。

 あんな赤毛で長身は佐々木直也ササキナオヤくんしかいない。


 彼はゼンヤの友達(仲間)だ。


 私はこちらに背を向けている直也くんの背後に近づき、声をかける。




 「直也くん」


 彼は微かに身体を揺らすと、こちらを向いた。


 「ハツ」


 見えた直也くんの顔は、いつ見ても綺麗だと思う。

 目にかかるほどの長い前髪を横に流し、黒のシンプルなピンで留めていた。その為か、なんだか可愛らしく見える。



 「ハツ、今帰りなの?少し遅いんじゃない」

 「うん。図書室でくつろいでたら、いつの間にかこんな時間になってたもんで」

 私はよく、図書室に行く。広くて静かで居心地が良いのだ。


 「直也くんは誰かと待ち合わせ?」

 彼のことだ、意味もなく駅前で突っ立ってるワケではないだろう。


 直也くんは右手を首にもっていき、手のひらを首筋に当てた。



 「うん、ゼンヤを待ってるんだ」

 


 予想通りの名前がでてきた。

 私は特に驚くことも、がっかりすることも、疑問に思うこともなく、「そっか」とだけ返す。



 「もう、18時まわってるよ。どっか行くの」

 「“テイタラク”にラーメン食いに行くんだ」




 『テイタラク』そこは中華料理屋で、この青高の最寄駅からほど近いとこにある。全品500円でかつ量が平均より少し多めだから学生やら貧乏人に人気がある。それだけでなく、味も「飽きがこない」ほどの美味しさで、開店から閉店までの7時間、客足が途切れたことはない、そんな店だ。



 結構知ってるのは私もそこの常連だからだ。


 そして彼らもまたそうである。





 「じゃあ、夕飯を食べに行くってことね」

 「そうだね」

 そう言うと直也くんは少し唇の端を上げた。



 彼の顔は本当に綺麗だ。

 特に笑った時は、それにどんな意味が込められているとしても、10人中10人の女子ないし男子が綺麗と、絶対に言うだろう。

 日本人顔なのは確かだが、目・鼻・口等々の作りが美しい。





「では私は帰ります」

 直也くんの横を通り過ぎようとした時、視界の端に“熊”がこちらに歩いて来てるのが見えた。横の直也くんも気づいたようで、そちらのほうに向かって軽く手を上げた。



 「ハツも一緒に食べ行かない」

 「丁重にお断りするよ。我が家の今日の夕飯はハンバーグなんでね」

 “熊”が完全にこちらに来る前に私は逃げるようにそこから去った。



不良第一号発見。

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