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~出会い~
「もう、死んじゃおうかな……」
雨にうたれて私はずぶ濡れ。
私は誰にも必要とされないから。
今も昔もこれからも。
もういいんだ、もう……
雨がかからなくなった。
あれ、なんで傘が?
体育座りをして俯いていた顔を上げる。
男が立っていた。まだ若い。歳は20代半ばといった所だろうか。黒髪で顔立ちはとても整っていた。
綺麗……
そう思った。私なんかより、ずっと。
「誰?」
男は私の質問には答えず言った。
「なぁ、死ぬぐらいならさ……俺のために泣いてよ。」
これが私、春野霞と桐谷悠との出会いだった。