表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙人H  作者: 大林秋斗
5/5

おれはいつまでも、宇宙人Hのことを考えたいた。

病室ではたらたら過ごしている。

気が向いた時には、一つ下のえいいちをからかった。

その時はその時でおもしろいけれど、宇宙人Hの姿が頭から離れない。

宇宙人Hのおかあさんは、あれから現れないし・・・。


おれの気持ちとは別に、おれの胸のむかむかは、どんどん軽くなってきた。

検査の結果がよければ退院できると、おかあさんが言ってた。

宇宙人Hが言ってたこと、当たった。

おれが思っているよりも、早く退院できるって。


だけどね、なんだかいまいちうれしい感じがしてこない。

えいいちはよかったねと言ってくれたけれど。


そんな時に宇宙人Hのおかあさんが久しぶりに現れた。

おれのお見舞いに来たそうだ。

おれはむかむかとは違う、胸の痛みを感じた。

おばさんのやさしい顔は変わらず。

手にかばんを提げた様子は普通の人と変わらない。

でも、何か不安なんだ。

「ゆうじくん、元気そうね。」

「・・・うん、退院できそうなんだ。」

「まあ、良かったわ。」

おれは自分のことよりも宇宙人Hのことが知りたかった。

ちょっとでも元気になったのか聞きたかった。

でも話ができない。

ごくんとつばを飲み込むだけ。


おばさんがかばんから見覚えのある巻貝を取り出した。

「ゆうじくんに渡して欲しいって、ひろむに頼まれたの。」

「でも、これは、ひろむくんの宝物でしょう?」

「ええ、だからこそ、ゆうじくんに・・・。」

おれは貝を受け取った。

とても軽く冷たく感じる。

おれは唇が震えてくるのを、どうにかおさえながら言った。

「・・・あの、ひろむくんは、どうしているの?」

おばさんは、おれから顔を逸らして天井を見上げた。

そしておれの方に再び顔を向けて言った。

「・・・ひろむはね、宇宙に還ったのよ。」

おれは、凍りついたように、しばらく動けなかった。




夜だ。

おれは病室の窓から外を見ていた。

空は真っ黒で、星がちかちか光っている。


大うそつきの宇宙人H、いや、ひろむ。

お前は宇宙人じゃない、おれと同じ。

うそをついて、夢みたいに星のことを話したひろむ。

おれは、おれは・・・。


おれは巻貝を持った。

耳に貝を当ててみる。

ぐぉぉぉぉぉぉ。

星の声。

宇宙人Hはこの宇宙のどこかで、小さい自分を気持ちよさそうに感じているんだろうなあ。


星たちがちかりと瞬いて、合図を送ってきた。

拙い作品を読んでいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ