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宇宙人H  作者: 大林秋斗
3/5

おれは目が覚めた。

病室は暗い。

夜中かな?

でもカーテンの向こう、宇宙人Hのベッドが騒がしい。

カーテンの奥で影絵の劇をしているよう。

ゆらゆらした影が何かを話している。

看護士さんの影だ。

宇宙人Hのおかあさんの影もいる。

影が大きく震えている。

おれは怖くなった。

頭から毛布をかぶった。

落ち着け、落ち着けと、何度も心の中でつぶやいた。

宇宙人Hのベッドは、きしきしと音をたてながら、どんどん病室から離れていく。


病室は静かになった。

足音が近づいてくる。

宇宙人Hのおかあさんだ。

おれは息を飲み込んだ。

胸のむかむかが大きくなる。

おれはこらえきれずに咳き込んだ。

「・・・ゆうじくん、起きているの?」

おばさんは、鼻が詰まったような声で言った。

「うん・・・、あの・・・、うちゅう、いや、ひろむくん、どうしたの?」

「・・・ええ、個室が空いたから、お引越ししたのよ。なかよくしてくれてありがとうね・・・。」

おばさんが病室を出てからだいぶ時間がたっても、おれはなかなか眠れなかった。




おれの隣には、次の日には別の男の子が来た。

おれが入院した初めての日のように、自分のおかあさんになにやら言ってる。

こいつはふとっちょ。

顔の赤いやつだ。

「こんにちは。」

少し恥ずかしそうにそいつは言った。

「名前は?」

「山田えいいち。」

「ふうん、ところで、えいいちくんって宇宙人?」

えいいちは、おれのとっぴな質問に目を丸くした。


おれは、寂しい。

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