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『スキル無し』で婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!  作者: しずもり


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11/14

彼女は何でも知っている

よろしくお願いします。


 目の前のルナリス様こそが初恋の人だと確信したレオンハルト殿下は、右腕に張り付いていたルナティア嬢をベリっと引き剥がすと、頬を赤く染めてルナリス様に向かって歩きだしました。



「どういうことも何も、これがわたくしの特殊スキル、『女神降臨』ですの。わたくしは女神ルナリス様をこの地へとお呼びすることが出来る、というスキルを授かっていたのです。


ですが、無闇矢鱈に女神様をお呼び立てする訳にもいきませんでしょう?こうしてルナリス様にお会いするのは、わたくしもあの十年前のお忍びの時以来ですわ」


そうなのです。あの時だって、私はスキルを使うつもりなどなかったのです。

けれど、毎晩のように就寝前にルナリス様と会話をするのを日課としていた私は、楽しみにしていた訳ではありませんでしたが、うっかりとお忍びで街に行くことを話してしまったのです。


すると、『私も一緒に行きたい!』と女神様が駄々をこね始めたのです。それはもう!昼も夜もひっきりなしに話しかけてくる始末。


女神様との会話は神託の様に、直接私の頭の中に女神様の声が聞こえてきます。判定を受けたばかりの頃は、周囲の様子など構わずに、私は普通に声に出して会話をしておりました。だってまだ幼い子どもでしたもの。しかし、そのせいで、両親たちに普段から女神様と会話していることがあっさりとばれてしまいました。まあ、当然のことですわね。



ばれた、というより私にはそれが特別なことという認識もありませんでした。それに最初は声の主が女神ルナリス様だと気づいてもいなかったのです。


 だって、ある日突然『やっほ~、マリちゃん!私、ルーナだよ』という声が頭の中から聞こえてきたのですよ?

それがまさか女神様だとは気付くわけがありませんでしょう?


それで両親にばれまして、万が一の事を考えたお父様は私と誓約魔法を交わすことにしたのです。


マリエッタ()が婚姻するまでは、ルーデンベルグ公爵の許可無く、特殊スキルのことを他人に話してはならない』、と。



 子どもって内緒の話でも、弾みで秘密をつい話してしまう事がありますでしょう?

それを防ぐ為のものでしたが、私はこの誓約を結ぶ前にお父様の誓約魔法について、きっちりと説明を受けることとなりました。


・・・・恐ろしかったです。ええ、本当に。


あまりの恐ろしさに、その日の夜は一人では眠れなくて、久しぶりにお母様のベッドへと潜り込んだほどでしたわ。



そして根負け、というよりも両親から、女神様の望みを断るなんて畏れ多いこと、という話になりまして、" 遠い国に住む友人設定 "で、ルナリス様もお忍び街歩きに参加する事になったのです。


「何故、私にその事を教えてくれなかった!教えてくれていたら()()()()に騙される事もなかったのに!」



え?ここで自分の目が節穴だった責任を私に押し付けてきます?



しかもさっきまで『私の女神ルナティア!』とか言っていた口が、『こんな女』とまで言っちゃいますか。



「え〜。それはレオンの責任でしょ。レオンが勝手に間違えただけじゃん」



・・・・ルナリス様のこの口調は私と頻繁に会話していた所為、ではないはず。


だからお母様っ!私に氷の微笑を向けないでっ。



「えっ!なっ!も、もしかしてルーナは今までの事、全部知って・・・」


ルナリス様の言葉に、レオンハルト殿下は目線を私に向けた後、顔が真っ青になっています。話の内容以前に、初恋の人がルナリス様だと知っても、ルーナと呼んでしまう殿下もどうかと思いますが。

王族の方々の顔色も、面白いぐらいに青くなったり赤くなったりしていますわね。



「そんなの当たり前だよ~。だって私、女神だよ?善行も悪行も私にかかれば丸見えよ?」


その言葉に今度は会場中が大きく動揺したのを見て、お父様がにやついていますわね。腹黒くはあるけれど、悪事に手を染めるような人ではないお父様はこの状況を楽しむつもりのようです。



 この場に居る子息息女の中には、第一王子の婚約者の私を『スキル無しの無能才女』などと、蔑む態度を隠そうともせずに聞こえよがしに暴言を吐いていた者も数多くいます。


そして貴族たちが集う社交の場でもそれは同じだったのでしょう。お父様たちが私の為にどれほど耐えていたのか、私は知る由も無いですが、お父様たちの表情を見るに相当だったようですわね。


レオンハルト殿下から手を振り払われて、床にペタリと座り込んでいるルナティア嬢を気にかける人はもうどこにも居ません。


何しろレオンハルト殿下が勘違いしていたとはいえ、彼女は初恋の相手(本人)だと嘘を吐いていたのです。しかもそのつもりはなかったとしても、殿下の本当の初恋の人は、女神ルナリス様であり、その尊き人のフリをしていたのですから。



気付けば、レオンハルト殿下の後ろに立ち、私を散々睨み付けていた側近候補(取り巻き)たちは、今やルナリス嬢から距離を取ろうと後退りし始めています。今更逃げようとしたところで時既に遅し、だと思いますけれど。



「おま、いや、マリエッタ。今まで誤解していて申し訳なかった。君は私とルーナのキューピッドだったのだな」


いえ、違います。


私はレオンハルト殿下のキューピッドなんてものになった覚えもなければ、そういうつもりでルナリス様を紹介したわけではありません。


それに頑なまでに、ルナリス様をルーナ呼びしていらっしゃいますが、え?まさか?まだルナリス様が女神様だという事に気付いていない?・・・わけはない、ですよね?


私がレオンハルト殿下の理解力に少々不安になりかけた時、ころころと鈴の音が鳴るように可愛らしい笑い声が響いてきました。


「相変わらずレオンたら思い込みが激しくて可笑しいわぁ~。マリちゃんは本当に愛らしくて私の天使なのよ?そのマリちゃんに対して酷い態度を取ったりして・・・。レオンはもう少しよく考えてから行動に移した方がいいと思うわよ?」


ルナリス様が普段、私との会話でよく言っていた言葉ですね。


『レオンは悪い子じゃないんだけれどねぇ。ちょぉ〜っと視野が狭くて思い込みが激しいところがあるよね』



確かに子どもの頃のレオンハルト殿下の印象はそう悪いものではありませんでした。けれどルナリス様に出会って以降の殿下の態度に、時折、愚痴を溢していた私にルナリス様はそうおっしゃっていました。



「ルーナ、いえ、ルナリス様。私は貴女と出会った八歳の頃よりずっとお慕いしておりました。どうかこの私と結婚して下さい!」



えぇっ!この流れでいきなり求婚!?



ルナリス様の前でいきなり跪き、頬を紅潮させて手を差し出したレオンハルト殿下に今日何度目かの驚きが会場全体に広がった瞬間でした。



いくらずっとルナリス様を想い続けてきたとはいえ、いきなり女神様に求婚するのは流石に唐突すぎるでしょう。


レオンハルト殿下。さっきまで初恋の人の名前も顔すら覚えていなかったことを忘れてやしませんか?



ここまでお読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
全てを知ってる国王(父ちゃん)的には、息子の暴走がいたたまれないw
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