転生
てつやは、今日も部屋でゴロゴロしていた。働く気力もなく、スマホをいじりながら、なんとなくYouTubeで車の動画を見ていた。「アルトワークスって、なんかかっこいいな……」ぼんやりとそう思いながら、気づけば意識が遠のいていった。
目が覚めると、なぜか視界が低い。周囲には見慣れない景色が広がっている。しかも、自分の身体がやけに小さく、そして軽い。
「……え? ここどこ? ていうか、なんか体が変だぞ?」
てつやは慌てて手を動かそうとしたが、手はなく、代わりにハンドルとシフトノブがそこにあった。パニックになりながら、窓ガラスに映った自分を見てみると、そこには――
「えっ、俺……車になってる!? しかもこれ、アルトワークスじゃん!!!」
まさかのアルトワークス転生。現実とは思えない状況に混乱しながらも、てつやはエンジンがかかる不思議な感覚を味わっていた。
「こ、これは夢だよな? とりあえず……走ってみるしかないか……?」
アクセルペダルを踏む感覚で意識を集中すると、身体が前に進み始める。軽快なターボ音とともに、てつや――いや、アルトワークスとなったてつやの新たな人生(車生)が今、始まろうとしていた。