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七夜の中で

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

夜眠る時、考えるのは同じ事なんです。

薄暗い部屋の中を満月だけが覗く。ジャズにも似た小洒落た曲が四方形の部屋を満たす。ただ其れだけで七夜に行われた当たり前の事が、特別な事のように思えてしまう。

彼が私の頬を撫でる。その時の顔が何とも寂しげで、愛おしげで、心が掻き乱された。そんな表情をしないで欲しい。何時もの様に、冷たい瞳で射抜いて欲しい。

「夜が……好きなの。どれだけ日中が残酷でも、夜だけは優しくしてくれるから」

甘い夢を延々と見せてくれるから。優しく包んでくれるから。でも其れもこれでお終い。明日から冷たい現実が始まる。

彼は何も答えなかった。代わりに青い月光の様な視線を瞼で覆い、その男性な顔を此方に向けた。段々と顔が近付いて来る。けれども触れ合う寸前でぴたりと止まった。

「今日は……お前からして」

薄目を開けると、彼も私と同じ様に目を伏せていた。その様が何だか凄く寂しそうだった。だから其れが少しでも紛れる様に自分から唇を押し付ける。

キスは冷たかった。七夜の中で最も冷たかった。其れはまるで私達に現実へ引き摺り戻す様に。

「苦しいね……。明日からもう現実だよ」

そうして貴方ともお別れ。こうして夜を共にする事も、抱き合う事も、キスする事も無くなってしまう。余りにも苦しい昼間がやってくる。だから逃げ出したい。明日から。ずっと今日に縋り着いていたい。

「怖いのか」

「怖いよ。ずっと今が続けば良いのに。夜が続けば良いのに。そうすれば……」

続く言葉は彼の唇によって塞がれた。彼の口の中に消えて行った。そうして私の言葉を食べた後、彼の顔が僅かに離れる。また言葉の続きを紡ごうとする。けれども彼は其れを許す事無く、唇を押し付ける。まるで言葉を聞くことを拒む様に。

「また、会えるから。長い長い昼を超えて、短い短い夜を超えて、また」

「その言葉、信じてるよ……」

そうして私は彼に抱えられながら瞼を閉じた。七夜中で最も名残惜しく、だからこそ愛しい夜だった。

連休最終日ですね。

短くても長くても最終日に思うことって何時も同じなんです。


永遠を思わせてくれたのは最初だけ。

振り返って見たらただの泡沫。

全てはただ夢の様に消えてしまう。

だからこの夜が永遠に続けば良いのに。

そうすればずっと一緒に居れるのに。


昼よりも夜の方が好きなんです。

眠る時、ずっと優しくしてくれるから。


離れたくないな。でもまた会えるって信じてるよ。

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