プロローグ
推理ジャンルへの初投稿。
よろしくお願いします。
シリアスでバッドエンドな暗いお話です。ご注意を。
全4話。4000字程度です。
本日プロローグと1話投稿。
明日2話投稿で完結です。
ある閑静な住宅街にパトカーが1台止まっていた。
めずらしいことだった。
防犯のためにパトカーや警察官が巡回することはあったが、パトカーが家の前に停車することなど、近隣に住む人たちは見たことがないと話す。
1台のパトカーは「小木」さんの家の前に止められ、2人の警官が開かれた玄関の中から家の中へと入って行った。
肌寒い10月7日の午後5時22分ごろ。
しばらくすると小木家の前には警察車両が数台集まってきて、あたりは騒然とした。
「いったい何があったんですか」
近所の住人が規制線を張っている警察官に話を聞こうとすると、べつの警官に呼び止められ、すぐに変わったことはなかったか、不審な人物は見なかったかなどと尋ねられたのだった。
誰の目にも小木家で事件が起きたのは明らかだったが、それがどういった内容なのか誰もわからずにいた。
しばらくすると家の中から担架が2つ運ばれてきた。
濃い緑色のシートをかけられて運び出された担架を見て、近所の住人たちは「えらいことが起きた」とひそひそと、静かに騒ぎはじめた。風もない砂浜に打ち寄せるさざなみのように。
それは静かだが確実に、人々の心に動揺を呼び起こしたのである。