(12)――どうしてか俺は、人を殺したという事実を強調しておきたかった。
【語り部:陜ィ�ィ雎趣ソス陜ィ�ィ陷�スヲ】
こんな気持ちは初めてで、正直、どんな行動が正解か判然としない。
それでも、この衝動だけははっきりとしている。
おれは、君に谿コ縺輔l縺溘>。
【語り部:五味空気】
目が覚めると、またぞろ医者猫男にスタンガンで麻痺させられ、昨日と同じく空調の効いた地下室に連行されていた。なにをするのかと言えば、殺し合いと称した検査以外は考えられまい。
だが昨日と違い、今日渡されたのはナイフだった。
ナイフは拳銃よりもずっと直接的で、その手に染み渡る死の気配には心が躍る。
そんな感覚に陥りながら――俺のナイフ捌きは素人以下という残念な結果に終わった。
「お前さ、本当は殺しなんてできねえんじゃねえのか」
俺を殺人鬼として拘束しているはずなのに、医者猫男からはこんなことを言われる始末である。
「いやでも、あんたらのとこの女の子……清風、だっけ? あの子と会ったときには、一人殺ったんだけど」
ここで医者猫男の言葉にそのまま乗っかってしまえば良いものを、どうしてか俺は、人を殺したという事実を強調しておきたかった。……まあ、開始五秒と経たずにナイフを奪われて、現在進行形で組み敷かれている状態でこんなことを言ったって、無様を晒しているだけなのだが。
医者猫男は、それくらい知ってる、と言いながら、こてんぱんにのした俺を椅子代わりに腰かけ、煙草を吸い始めた。
「だけど、昨日あれだけ動けた野郎が、ここまでナイフが使えねえってのはおかしいだろ」
「そうかな」
「熟練したプロの補欠って言えば通じるか? つまりお前は、ある一点においてはプロとして通用するレベルだが、それ以外はからきし駄目で、故にレギュラーにはなり得ねえ。そんな感じがする」
「バレーで言うリベロ、みたいってこと?」
「うんにゃ。バレーで言うならピンチサーバーってとこだな」
「大差なくない?」
「いいや、大ありだ。だからお前、こうして大人しくとっ捕まってんだろ?」
医者猫男の言わんとするところが掴めず眉間に皺を寄せる俺をよそに、彼は白衣のポケットに手を突っ込む。
「重要な局面で必要とされながら、常に試合に出てはいない。試合への影響力はあるかもしれねえが、試合の真ん中へは飛び込まない」
これはただの勘でしかねえが、と医者猫男は続ける。
「俺にはお前が、誰かの代用品にしか見えねえってことだ」
「それは、どういう――」
しかしその言葉の真意は聞けないまま、俺は再びスタンガンにより身体の自由を奪われ、気がつけば地下牢に戻されていたのだった。




