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文武両道

 貸し切りのバッティングセンターである


 ミホちゃんのお父さんはどうなったんだ?


 とお思いでしょうがちょっと待ってくれ


 考えながら書いてるのだからさ


 バッティング練習してるのはさおりお嬢様で


 それを見ているのがトモカズ様で


 その二人を見ているのがヨシザワさんです


 状況つかめた?


 「キミって、負けず嫌いだよね」

 「勝ち逃げはずるいじゃないの」

 「まあ、文武両道は悪いごとじゃないけどね」

 「あなたはスポーツやらないの?」

 「スポーツは苦手、というより好きじゃないのさ」

 「負け惜しみ?銀行家の跡取りにスポーツやってるヒマなんてないってことかしら」

 「ケインズとかフリードマンとか教えられてるけどね。財閥のお嬢様はもっと大変だろ?文武両道どころか武芸百般求められるんだろ?最近のアイドルみたいにさ」

 「アイドルじゃないからお笑いとは 無縁だけど。アメリカン・ジョークとかは時たまね。女子中学生がアメリカン・ジョーク言うと妙にウケるのよ」

 「お嬢様、うかつにアイドルに触れると炎上しますよ」


 そういうヨシザワさんが炎上するぞ

 そういうキャラじゃないだろ!


 「んー、なんかしっくり来ないなあ」


 お嬢様はバッターボックスの中で立ち位置を変えたり、バットの握りを変えたり、バット自体を変えたり、いろいろ試している


 と説明している私は本来の姿に戻ってふわふわ眺めているのだが


 これでは一人称小説だか三人称小説だか分からんな

 と反省する一方

 ことによったら

 新しい試みということで

 芥川賞候補になるかもしれんなあ

 

 んなわけないだろ!


 こうやって読者様にツッコむ機会と楽しみを提供する試みも新しい


 自画自賛


「何が問題なのさ?」


 本題に戻った


 「ストレートなら何キロの球でも打てると思うんだけど、あの時は急に変化したから」

 「おれはこの目で見てないけど、ホントに魔球なの?」

 「まさか。たぶんシュート系の球だと思うんだけど」

 「あの時、スライダーとか言ってなかった?」

 「まだソフトボールの本読んでなかったもん。ソフトの変化球って、70種類くらいあるんだってさ」

 「この小説、読んだことすぐひけらかそうとするよな」

 「お笑いになっちゃうでしょ!あたしは真面目に打ちたいの!」


 ちょっと間が空いた


 「カワカミ選手は、全盛時は球が止まって見えたって言うぞ」

 「なにそれ?精神論は好きじゃないな」

 「双葉山も69連勝でストップしたとき、信念の歯車が狂った、とか言って、ナントカ教に入信したんだぞ」

 「だから、言うことが古すぎるのよ!」


 また間が空いた


 「キミはさあ」

 「なによ」

 「キミは打ちたいの?それとも、あの子に勝ちたいの?」


 ?


 「そ、そりゃあ、打てば勝ったことになるでしょうよ」

 「あの子に勝つって、どういうこと?」

 「な!なによ!そっちこそどういう意味!?」

 「ジャガイモは、おいしかった?」

 「……」


 押し黙ってしまった


 「……青リンゴは……おいしかったの?」


 なんだその謎のスマイルは!

 なぜそーゆー方向に行く!


 「稽古つけてやろうか?」

 「……スポーツ苦手なんでしょ?」

 「嫌いなだけさ。薩摩示現流って知ってる?」

 「サツマジゲンリュウ?」

 「初太刀疑うべからず!一撃必殺てことさ。婚約者疑うべからずってね」

 「三歳で親が決めた婚約者なんて、婚約者じゃないわ」

 笑っている

「確かに、オレたちがこのまま結婚したら、ものの見事な政略結婚だな」

 「時代劇みたい」

 「だから、示現流の出番なのさ」


 おいっ、いつからそんなアブナイ小説になったんだ!

 戦隊ものではないが、解説しよう

 示現流というのは剣法の一種で薩摩藩、つまり現在の鹿児島県で編み出されたと言われる剣法で

 特徴は構えにある

 普通の剣道と異なり最初から頭上高く剣を構える

 これをトンボの構えと言い最初から振りかぶっているから相手より早く振り下ろせる

 しかし防御ががら空きだからこの初太刀をかわされたらそれまで

 しかしそれは考えない

 とにかく初太刀で仕留める!

 かわされたら自分が死ぬがそれは考えない!

 一撃必殺!

 初太刀疑うべからず!二の太刀無し!

 そういう恐ろしい剣法なのである


 それとソフトボールと何の関係が?


 とお思いでしょうが


 お待ちください


 ミホちゃんのお父さんがほったらかしだ


 どうなったか様子を見てみよう

 続く。

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