お酒と蜜
前回から約1週間後のとある夜の話です。
「う…苦しい、わ…シトラス…」
「んー…もう少しだけぇ…」
シトラスが離れてくれない。
とても他の人には見せられないであろう顔をしている私の従者。
たまにはいいよね。と、宿屋に入ってからお酒を飲み、一瞬で酔いつぶれてしまっていた。
吸血鬼は酒に弱いので1度も飲んだことないが、そんな私でもびっくりするぐらい一瞬だった。
「アンナ…いい匂い…柔らかい…」
「ひゃああっ!?どこ触ってんのよ!」
「んー、おっぱい…」
むにむにといやらしい手つきで胸をまさぐるシトラスを押しのけようと力を入れるが…
「力強っ…!」
「ふっふーん…これでも元冒険者だからねーん♡」
「もーっ!はーなーれーろー!」
滅多にお酒を飲まないらしいが、こんな風になるなら飲まないのは正解だろう。
正直、鬱陶しい…!
「ねーぇ、アンナぁ…こっち向いてぇ」
「なによ!…んっ!?」
ちゅっ
「あはは、あまーい」
「な、な、なななななにしてんのよおおお!!」
「ふべっ」
ぺちーん、と頬を叩く軽快な音が部屋に鳴り響いた。
〜〜1時間後〜〜
「ご、ごめんね?酔ってたとはいえ、まさかファーストキスだなんて…ねー、機嫌直してよー…」
「ううううう…ケダモノっ…!」
酔いが覚めたらしいシトラスが、布団を被った私の近くに座った。
別に機嫌が悪い訳では無い。
ファーストキスを奪われたことを怒っているわけでもない。
ただ、なぜこんな気持ちになっているのか…なぜこんなにもドキドキしているのかが理解出来なくて、真っ赤な顔を見せたくないだけだ。
同性に胸をまさぐられ、キスをされたというだけで…
そういうのもアリかな…って少し思ってしまったことに対して困惑しているのかもしれない。
私はシトラスのことが好きだったのだろうか?
…分からない。
そもそも女の子のことを恋愛対象として好きだなんて、思ったことは無い…
ああっ!もう!モヤモヤする!
バサッ!
「わわっ!ど、どうしたの?」
「お腹すいたわ。血、飲ませなさい」
「いい、けど…」
シトラスの白い首があらわになった。
私はシトラスの肩を掴み、首を舐める。
今までの吸血係の子達にはこんなことしたこと無かったのに、シトラスは別だ。
なぜか、こうやっていじめたくなる。
私の歯が開けた穴の付近を舐めると、びくり、とシトラスの体が飛び跳ねる。
そして、小さな嬌声が聞こえる。
この反応が面白くて、可愛くて…
やっぱり私、シトラスのことが好きなのかな…?
「ん、ぅっ…」
牙を侵入させ、血管を突き破る。
穴の奥から蜜のように甘ったるい血液が流れてきた。
…いつもよりも熱く感じる。
喉が焼けるように熱い。
もっと…もっと、シトラスの熱を感じたい…
シトラスは…私のモノ…
今日も気分でもう1話更新してます!