相棒への手紙
親愛なる私の大親友兼、相棒であるフィールへ。
こうやって手紙を書くのは久しぶりだね。
今、私はマブル村付近にいます。
北にあるから、ただでさえ寒い季節が余計寒く感じるよ。
そっちは暖かい?それとも寒い?
いや、きっと暖かいよね。
それはともかく、聞いて驚け、めちゃめちゃ可愛い旅仲間が出来たんだよ!
ふわふわの金髪にルビーみたいに赤い目、人形みたいに綺麗な顔の吸血鬼の女の子なの!
少しワガママなところも可愛いし、時々見せてくれる笑顔なんて可愛すぎて…!
どうよ、羨ましいでしょ!
そっちはそっちで可愛い女の子達を侍らせて過ごしてるのかもしれないけどね!
私が女の子しか好きになれなくなったのはあんたのせいだー!なんて前まで言ってたけど、今考えたら別に怒ることでもなかったかなって思ったりしてる。
フィールと初めてシたのは…3年くらい前だっけ?
あの時はお酒に酔って口車に乗せられて、ほぼノリでえっちなことしちゃった訳だけど…
うん、うん…あの時のこと思い出したら恥ずかしすぎて爆発しそうだからやめとこう。
とにかく!私の身体をキズモノにした事の責任も取らずに行っちゃったの!忘れてないんだからね!
…たまに、あなたに会いたくなる。
私が初めて愛した女性で、大好きな相棒。
あなたの温もりが忘れられないし、あなたと過ごしたあの日々を鮮明に覚えてる。
よく、あなたを抱きしめる夢を見てる。
目を覚ましたら、あなたがいない事に気がついて、涙を流す日もある。
あの時に戻れたら、って何度も思った。
あの時油断しなければ、って何度も悔やんだ。
あの時の浅はかで馬鹿で、未熟な私を何度も呪った。
後悔で、胸が張り裂けそうになる。
あなたのことを忘れないように、あなたがやりたかったことを今やってるの。
…ごめんね、また重いことばっかり書いちゃって。
とにかく、あなたへの気持ちはいつまでたっても変わらないよ。
いつまでも、何年経っても。
他に好きな人ができたとしても、あなたのことは忘れない。
愛してるよ、フィール。
あなたの大親友兼、相棒であるシュトラウスより。
***
真夜中、焚き火の前で書いた手紙を綺麗に折り畳む。
手紙の隙間に配送料である銀貨を差し込み、焚き火に放り込んだ。
パチパチと燃える焚き火に落ちた手紙は瞬く間に燃えてしまった。
私は組んだ指を額に当て、お祈りをした。
フィールの元に届きますように…
「しとらすー…?なにしてるの…?」
眠そうなアンナがテントから顔を出して、こちらを見ている。
「あ、寝てていいよ。私ももう寝るから」
「んー…わかったぁ…」
涙を拭って空を眺めた。
…今日も星が綺麗だな。
暖かい空気は上昇するという性質がありますよね。
この世界ではその性質を利用した、『書いた手紙を燃やすと天国に送られる』という儀式が昔からあるようです。
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今日は気分でもう1話更新してます!