表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅人と吸血鬼  作者: うらにうむ
11/18

懐かしい


「はっ!やぁっ!」


今日も今日とて魔王軍の残党狩り。

この村付近を彷徨いているのは4体ほどのワイバーンだ。

元魔王領に最も近い王国領の村なので、そこそこ強いモンスターが増えている。


「ふぅ…疲れた…」


いつもよりも時間がかかった。

昨日も他の村の依頼で魔王軍が作ったゴーレムを爆破して回っていたため、その疲れが残っているのだろう。


「ありがとうございました!貴方様のおかげでようやくこの村にも平和が訪れました…!これはお礼でございます。少ないですが…」


「いえいえ、私はやりたいことをやってるだけですからお礼はいりません。全て村の復興のために役立ててください」


老いた村長が差し出したお金が入った袋を拒否し、微笑んだ。

村から出る前にと、いつも通り村の外周を散歩する。


「ねぇ、いつも思うんだけどなんで村から出る前に、こうやって歩くの?」


「村の風景を見たいとかでは?」


「それもあるかな。気づいてないかもしれないけど、実は結界張ってるんだよ。害があるモンスターとかが近づかないようにね」


村を囲む柵や、森の木々に結界を張りながら歩いているのだ。

効果は数十年くらいかな。


「この範囲に結界って…」


「しかも数十年も…シトラス様、流石です…」


「この村は大きくて魔力の消費が多いから大変だけどね…この村の人達が健やかに過ごせますように、って思って結界を張ってるの」


「…いつもの言動が嘘みたいな聖人っぷりね」


失礼な…


***


今日は昨日に引き続き魔力を大量に使ったから、いつも以上に疲れた。

…頭がぼーっとする…


『これが終わったら何がしたいか?うーん…旅をしながら、人の為になる事をしたいかな。正義の旅人ってなんかカッコよさそうじゃん?』


フィールの声…

懐かしい、2人で旅をしていた時にこんな会話してたなぁ…


『たしかに…私は王国に戻ったら、またあの日々が待ってると思ったら憂鬱だよ…』


『…ねー、別に戻る必要なくない?世界を救った英雄なんだからそれくらいのワガママ許されるって』


『…なるほど。考えてみればそうだね…それじゃあさ、私も連れてってよ。フィールと一緒なら、私はなんでも楽しいからさ』


『ふふん、言ってくれるじゃん。ま、僕はどっちにしろ連れて行く気満々だったけどね』


「うん、知ってた…あぁ、そうだったね…あなたと一緒にしたかった事を…私は…今…」


「なにブツブツ呟いてるのよ…って、顔赤いわよ!?大丈夫!?」


「た、大変です…!少し休める場所を!」


あぁ…

あの頃の…黄金に輝く日々が懐かしい…

大好きなフィールと、一緒に過ごした、5年間…

絶対に…絶対に、忘れない…


今日は久しぶりに仲のいい友達を集めて花火を見に行きました。

十代最後の花火だからすっごいしんみりしちゃった…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ