はじめまして
お久しぶりです。
リアルが死ぬほど忙しくてやる気起きませんでした。
リハビリがてら投稿しようと思います。
空は暗くなり始め、だんだんと気温も下がってきた時間帯。
私は明かりを確保するために周りに落ちている木の枝を拾い集め、魔法で火をつけた。
冬の一人旅は人肌が恋しくなる。
美少女でも仲間になってくれないかなぁ…
ふと、横に目をやると茂みの奥に何かが倒れているのが見えた。
寝ている獣かもしれないのでナイフを構えてゆっくりと近づく。
しかし、そこにいたのは獣ではなく…
「…お、女の子…?」
私よりも一回り程小さな女の子が横たわっていた。
焚火の明かりに当てられてキラキラと光る金髪、白くて細い指先。
…私好みの美少女だ。
いやいやまずは人命救助。
心臓は…うごいてる。
息は…大丈夫、無事だ。
とりあえずテントに寝かせておこう。
***
結局、真っ暗になっても彼女が起きることは無かった。
一人用のテントに二人で寝るのは少し狭いが、これは仕方のないことだ。
そう、仕方のないことなのだ。
少女の隣にくっつくように寝転がり、その顔を眺めた。
人形のように整った綺麗な顔。
慎ましやかな胸は息をするたびに上下に揺れる。
「すぅ…すぅ…」
「…はっ、危ない危ない。理性を保て、私」
超タイプな女の子だろうが、寝ている間に手を出すのはさすがにアウトだ。
我慢我慢…
「ぅ…ん…?」
心の中の悪魔と格闘していると、少女がその目を開いた。
眠たげな目を擦り、こちらを見つめている。
「…あっ。目、覚めた?」
「…?」
「えっと、ご飯食べる?」
ルビーのような真っ赤な目の少女にどう接したらよいのかわからず、とりあえずご飯を用意するためにテントから出ようとすると…
「ッ!?」
突然少女が私を押し倒し、そのまま首に噛みつかれた。
鋭い牙が皮膚を裂き、奥へ奥へと突き刺さる。
「うぅ…あ、あぁ…!」
鋭い痛みが…なんてことは無かった。
むしろ温かくて、少し刺激的な快感で体が震える。
しばらくした後、少女は牙を抜いて傷口を少し舐めた。
こそばゆくて、それでいて気持ちがいい。
感じたことのない感覚だが、悪い気はしなかった。
「うっ、ふーっ…な、なに…?ま、さか…吸血、鬼…?」
「は、ぁあ…はああぁあっ♡こんなに美味しい血、初めてっ…!」
私の上にまたがったまま口の端から垂れる赤い液体を指で拭い、ぺろぺろと舐める少女。
テントから出た少女は月を背にし、こちらを向いて微笑んだ。
「ごめんね、痛かったわよね?うふふ…そう、私は吸血鬼よ。血の補給が足りなくて気絶してたの。善意で介抱してくれたのに、無下にしちゃってごめんね?」
「いえ、とっても気持ちよかったです。ありがとうございます」
「…へ?」
クールな表情だった少女は眉をひそめ、怪訝そうな表情をした。
そして、その表情は段々と、不思議なものを見る目に変わっていった。
「気持ちが、いいって…?」
「…?そのまんまの意味だけど?」
「えっと、普通、生物っていうのは襲われそうな時って拒否する、わよね?その、吸血する時ってその人が抱く負の感情が大きければ大きいほど痛みが増すのよ。つまりあなたは…私に襲われて喜んでた、ってこと…?」
「まぁ…うん。そりゃあこんな可愛い女の子に襲われるなんて本望でしょ〜♡にへへ、いい匂いでした」
「ひいっ!?」
痺れて起き上がれない体を芋虫のように体をくねらせて近づくと、後退りして逃げられた。
「いや、でも…」
なにやら考えはじめた少女。
しばらくするとこちらに近づき、小さな両手で私の顔を挟んだ。
「聞きなさい人間。あなた、しばらく私の従者になる気は無い?」
「えへへ、おててスベスベ…ふぇ?従者?」
「ええ、そうよ。あなたは私のような美少女と一緒にいられて幸せ。私はあなたの美味しい血液が毎日飲めて満足。どう?win-winの関係じゃないかしら?」
「なります」
「そ、即答ね…。うん、そういえば自己紹介がまだだったわね。私の名前は、リアンナ・ヴァン・ラッドベリー。アンナって呼んでいいわよ」
「それじゃあアンナ。私はシトラス、旅をしてるの。よろしくね」
「旅人?なーんだ。家があると思ってたのに…」
「家があると思ってたって…もしかして私、アンナを養うってこと?」
「…お父様と喧嘩をして家出していたのよ。だから、その、家が無いの」
「…」
「そ、そんな目で見ないでよ!」
(少し生意気で家が無いけど)私好みの美少女(吸血鬼)が仲間になった。
「ところでこのシビレっていつになったら治るの?」
「10分くらいかしら。それまで土の味でも楽しんでなさい」
「…(しょぼーん)」