夢があるんだ
詩っぽくなったような…?
読んでくれてアリ(´・ω・)(´_ _)ガト♪
「夢があるんだ」
少年は手を大きく開いて私の目を覗き込んだ。
「僕はいつか、ぬいぐるみになりたいんだ」
少年の目はすごく輝いていたし、自信に満ち溢れていた。
だから私は、きっと少年が夢をかなえると信じた。
「それでね、ぬいぐるみになったらね…」
少年はうっとりとした表情でやっぱり私を見つめる。
「君の、隣に座るんだ…!」
***
「夢があるんだ」
少女は私を抱いて、ゆっくりとそう呟いた。
「私はいつか、あなたみたいになりたいの」
少女の声色はとても穏やかで、とても落ち着く声だった。
だから私は、ずっとその声を聴いていたかった。
「それでね、ぬいぐるみになったらね…」
視界に入った少女の口元は微笑んでいた。
「ずっと二人きりだよ…!」
***
変わったことなど、何一つないと思いたかった。
いつまでも続くと信じていた。
世界は優しいと思い込んでいた。
ずっと一緒にいたかった。
戻ってきてほしかった。
許してほしかった。
希望が欲しかった。
――夢が欲しかった。
いつまでも続く甘い甘い夢が欲しかった。
物になればそれが叶うと思った。
だって、物は物だもの。
変わらないの。
――ずっと同じなの。
「変わらない」が欲しかった。
変わっていくのが怖かった。
そのままの状態がずっと続くといいと思った。
物になればそれが叶うと思った。
だって、物は物だから。
変わらないから。
――ずっと一緒に居られるから。
失わないものが欲しかった。
そばに居てくれる物が欲しかった。
物になれば、誰かがそばに居てくれると思った。
だって、物は物だから。
動けないから。
――ずっとそこに居るから。
***
長い夢を見ていた気がする。
遠い記憶が流れて行った感覚だけが残る。
唯一覚えているのは、ウサギのぬいぐるみが、ずっとそばに居てくれた事だけ。
そして、そのウサギは今もここにいる。
所々ほつれているが、今もここに存在している。
抱き寄せると、とても懐かしい匂いがした。
「夢があるんだ」
匂いに連れられ、不意に思いつく言葉を口に出す。
君のプラスチックの目は、輝きを失うことを知らない。
***
もう長いこと君を見ている。
君は変わらない。
私は知っている。
どれだけ外の殻が変わろうが、中身は変わらない。
君はまだそれを知らない。
私は教えてあげる。
ぬくもりと、優しさを。
でも、君は私になりたいという。
ぬくもりと優しさを知らない君は、ぬいぐるみにはなれない。
だから、教えてあげる。
私たちぬいぐるみは、誰かに何かを与えることが出来る存在だって。
その対価は、君たちがそのことに気づくことなんだって。
でも、君はそれに気づかない。
だから――私はずっと、君のそばに居ることにした。
君が、ぬいぐるみになれる、その時まで。
よくわからない!って方いたら言ってほしいです…。感想返信で解説しますんで!