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ディストピア・パンデミック  作者: ぜろしき
序章
7/35

パンデミック

 各々練習を積み重ね、楔を使う日がやってきた。


 「オルタネイトに感謝を」


 「オルタネイトに感謝を」


 夜ご飯の前にバンさんの声の後に全員で口にする、オルタネイトに感謝をという言葉。

 それを全員がいつも以上に真剣に言っている様子が見えた。

 気合入ってるな。

 流石に緊張してきた。

 今日の夜ご飯も変わらず美味しい。

 そして全員が食べ終えた後バンさんが声をかけた。


 「みんな注目。今日のためにいつも検診してもらっているお医者様が13番の部屋でお待ちになっている。2番から一人ずつ行くように。終わったら聖堂に来い」


 「な、何で俺の部屋なんだよ!」


 「いや、別にいいだろ」


 いやいいけど、なんか嫌だ。


 「分かったよ・・・」


 そして次々に検診がされついに最後の俺の番になった。


 「お願いします」


 「はい。じゃあ腕を前に出してください」


 オルタネイトの医者はいつもお世話になっている。

 白衣姿で顔面はマスクに覆われている。

 なぜマスクをしているか尋ねたことがある。

 医者曰く、かっこいい顔ではないため見せたくないらしい。


 「この注射とも今日で最後か」


 「ああ、そうですね。今までよく耐えましたね」


 「いや僕もいい歳ですよ。そんな注射なんか全然大丈夫です。


 「そうですか」


 いつもの注射だ。

 この赤色の液体。

 この液体は楔を安定にする効果があるらしい。


 「本当にマスクを取らないんですか?」


 「取らないですよ。患者さんが気分を悪くするかもしれないですし」


 「顔に自信がなさ過ぎですよ。絶対かっこいいのに」


 「ありがとうございます。でもこの姿でずっとやっていますから今変えても逆に変ではないですか?」


 「確かに。そうですね」


 そんなことを言いながら検診は終わった。


 「よし、みんないるな。じゃあ楔を使うぞってお医者様。どうかなさいましたか」


 医者が来た。

 医者がバンさんの耳元で何かを呟いている。


 「分かりました。みんなお医者様が楔を使うところを見届けてくれるそうだ。それで俺は外で用事があるようだからちょっと行ってくるわ」


 みんな呆れた顔をしている。

 それもそうだバンさんはいつも大事な時にどっかに行ってしまうから。


 「はい。それでは楔を使いますよ」


 みんな緊張している。


 「みんなやろう!!」


 2番がみんなの背中を押した。


 「そうだな」


 「うん」


 「やろう」


 全員が決心をした。


 「それでは楔を使いなさい」


 楔を使うイメージをする。


ーー5


 「おいすごいぞ、これが楔!!」


 「やべーーー!!」


 「私は8番の楔で何か出来そう!!」


 聖堂で喜びの声が上がっている。

 2番と3番と8番が楔を使えているようだ。


ーー4


 「これが私の楔なんだー」


 「や、やっと使えた」


 5番と11番の楔は何だろうか。


ーー3


 「あれ、未来予知ができない。おかしいな。私は願ったはずなんだけど・・・」


 「本当に未来が見えていないようね12番」


 どうやら12番は楔を使えていないらしい。

 それを見抜いている10番は使えている。

 どういうことだ。


ーー2


 「本当に体が強化されているよ!」


 「すごい。この聖堂を瞬間移動で動いてる!」


 「これで動かなくて良くなるー」


 4番と7番と9番は楔を使えている。

 何か嫌な予感がする。


ーー1


 「何か嫌な予感がするよね13番・・・」


 「ああ。俺も楔を使えているのかが分からない」


 6番が怖がっている。

 何かが始まるそんな予感がした。


ーー0


 「あ、あれ楔が使えなくなったぞ」


 「私も」


 「俺も」


 「僕も」


 全員が楔が使えなくなったらしい。

 次の瞬間、


 「あ、あ、ああああああああああああ!!」


 俺以外の全員の孤児が俺の前で体が破裂し内臓が吹き出した。

 は。


 「な、な、な、何だよ、これ・・・。何かの冗談だよな。はははは・・・」


 みんなが死んだ。

 内臓が飛び出ていて一面血だらけだ。


 「医者さん。これはどうなってんだ・・・」


 「・・・」


 医者は沈黙している。


 「おい・・・。なんか言ってくれよ・・・」


 「・・・」


 またしても沈黙だ。


 「そ、そんな・・・。 2番、3番、4番、5番、6番、7番、8番、9番、10番、11番、12番!! なあ返事してくれよ・・・。また俺をからかってるんだよな・・・。そうだよな!!!!!」


 みんなが死んだことが信じきれない。


 「なあ医者さん。みんなはまだ安全に楔を使えなかったってことですか・・・」


 「・・・」


 「医者なら分かるだろ!!!!!!!! 俺たちにあんだけ薬を入れてたんだから!!!!!!」


 俺は医者の白衣を掴み問いただした。

 この医者は何かを知っているはずだ。


 「俺はなぜ生きているんだ!!!!!!! 俺以外が何で死んだんだ!!!!!!」


 「・・・」


 一向に口を開かない。


 「お、お前がみんなを殺したのか。そうなのか!!!!!!!!!」


 こいつが犯人なら殺す。

 そう決意した。


 「うっ!」


 次の瞬間医者の手によって叩かれ地面に落とされた。


 「ま、待て・・・」


 目が勝手に閉じていく。

 みんなが死んでしまった。

 体の力も抜けていき、意識がなくなった。

 

 

 

 

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