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ディストピア・パンデミック  作者: ぜろしき
序章
5/35

楔の謎

 一つ気になったことがあった。

 6番は楔の内容は自分が必要としている力だと言ったが、それはおかしい。

 なぜなら、楔は誰しも生まれた時に持っている。

 生まれた時に持っているなら自分が必要としている力など分かるはずがない。

 そう考えていると外から声が聞こえてきた。


 「イメージが必要なのよ。自分が楔を使う様子をイメージしなさい!!」


 この声は12番か。

 やってるな、イメージトレーニング。


 「あ! 13番ナイスタイミング。ちょっとこっち来て!!」


 「ん? どうかしたか?」


 12番の方へ歩いていくと、8番、9番、11番が助けてくれと言わんばかりのそぶりをしている。

 こ、これはキツそうだな。


 「た、助けてくれよー!! 13番ーーーーー!!」


 9番が今にも逃げ出しそうな勢いで助けを求めてきた。


 「どうした?」


 「それが、12番が楔を使うイメージをしろとか言ってくるんだよ。俺たちはまだ楔を使った事もないのにさー!!」


 「でも楔の内容は自分が必要としている力らしいよ」


 「本当か!?」


 「本当なの!?」


 8番と12番が意外な反応をした。

 二人は一番楔に興味無さそうなのに。

 あ、違うか。

 一番は5番だな。


 「じゃあ俺は見たものを浮遊させる力が欲しいぜ」


 「どうしてだ?」


 「え、だってそうすれば動く頻度が少なくなるじゃんか」


 8番は少し自慢げに話した。

 そこ自慢する要素あったか。

 それにしても8番らしい能力だ。


 「甘いな、8番は」


 「何だよ、9番。お前はどういう楔だ?」


 「僕は瞬間移動さ。8番は見たものは動かせても自分を動かせないだろ。遠いところに行く時にはどうするんだよ。その足で行くつもりかい」


 「くっ!!」


 9番は8番を嘲笑うかのように言った。

 8番はとても悔しそうだ。


 「でもお前外でないじゃん」


 「あ・・・」


 11番に痛いところを疲れて、9番は開いた口が閉じていない。

 ドンマイだ、9番。


 「11番はどうするんだ?」


 「私は適当だな」


 「は!?」


 その場にいた全員が口を揃えて発した。


 「何言ってるの11番! 欲しい力が手に入るのよ。どうしてそんな事を?」


 「まあ、正直今全然困ってないからね。みんなといると楽しいから」


 「じゅ、11番ーーーーーー!!」


 12番が11番に泣きながら抱きついた。


 「ちょ、ちょっとくっつかないで12番」


 「だ、だってーーーーー!! そんなこと言われて嬉しくない人なんていないよーーー!!」


 「12番・・・」


 「本当に適当なのか11番?」


 「本当だって、その場で適当に決めるよ」


 「そっか、お前らしいな」


 やっぱりみんな個性豊かだな。


 「てか、早く離れなさいよ12番」


 「えーもうちょっと!」


 12番は個性が強すぎるけど。


 「12番は何が欲しいんだ?」


 「私は未来予知が欲しいわ」


 いきなりぶっ飛んだ事を言ってくるな。


 「どうしてだ?」


 「どうしてって、未来は知りたいでしょ」


 「そ、それだけか」


 「それだけよ。なんか暗い過去でもあると思った?」


 「まあ、それなりに・・・」


 「まあね、この孤児院には暗い過去を持っている人もいるから。じゃなくて、イメージトレーニングするよ。みんな早く準備して」


 「はいはい」


 「分かったよ」


 「やるかー」


 みんな少しはモチベーションが上がったみたいだ。

 そう、この孤児院には暗い過去を持っている人もいるが全員ではない。

 ただ単に欲しい力を楔にする人もいるが、暗い過去の影響で力を選択する人もいる。

 楔の内容は本当に自分が欲しいと思った力なのか。

 謎は深まるばかりだ。

 

 


 

 

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