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ディストピア・パンデミック  作者: ぜろしき
序章
4/35

楔とは

 楔の練習とは言っても何をすれば良いのだろうか。

 俺が今まで街で見てきた人は何も特別なことはしていなかった。

 例えば、本などでよく見る魔法陣などを描いて楔を使ってはいなかった。

 そういえば、2番と6番が一緒に図書室にいるはずだ。

 図書室に行けば何か分かるかもしれない。

 俺は図書室へ向かった。


 「2番と6番いる?」


 「どうした? 13番」


 「どうしたの? 13番」


 本棚に囲まれた机で二人は本を読んでいた。


 「二人は何を読んでるの?」


 「俺は楔の使い方の本、6番は楔のことについて調べている」


 6番は珍しく大人しい。


 「6番。その本を読んで何か分かったか?」


 「まあまあだね13番。全員が知っていることばっかだよ。例えば誰しもが生まれた時から楔を持っていることとか」


 「そうか。2番は楔の使い方は分かったか?」


 「ああ。分かったよ」


 「どうやるんだ?」


 「まず楔とは精神力によって使うことができるらしい。自分の精神が強いほど楔の力は強くなる。心の中で楔の力を使うことのできる精神と頭の中でそれを使うイメージによって楔が使えるそうだ」


 2番はやっぱりすごい。

 ちょっと見ただけですぐ頭に入るのだから。


 「なるほどね。さすが頭がいい人は覚えるのも早いな」


 「そうでもないよ。僕より優れている奴なんてこの世にいくらでもいる」


 少し寂しげな表情をしながら2番は言った。


 「何でそんな顔してるんだよ。何かあったのか?」


 「そうだな、お前には話しておこう。ちょうど6番は寝てるし」


 横を見ると6番は寝ていた。

 あれさっきまで起きてたよね。


 「昔、僕の母は病気で寝込んでいたんだ。薬も買いに行けなくて困っていた。僕はどうしても元気になって欲しくて、外にいる人に母を治してくれと頭を下げてお願いした。けれど誰も見向きもしないで去っていった。まあそんなの当然で仕方がないと思ったよ。でも一人だけ僕のそばにきて母を治してくれると言ってくれた人がいたんだ。その人は僕の家にきて、そこにある食材で薬を作ったんだよ。最初は知らない人を台所にあがらせるなんてダメだと思ったけどこの人を頼るしかなかった。その人が作った薬で母は治ったんだ。僕はその時もっと頭を良くして母を助けると誓ったんだ」


 「すごいな2番はそんなことを考えれるなんて」


 2番は本当にすごい。

 やっぱり長男だ。


 「でも、母はもういないから。もう無意味なんだけどね」



 2番は下を向きながら小さな声で言った。

 2番にとって、目標としていたことができなくなってしまったこと、それは母を亡くしたことのように辛いのかもしれない。


 「そんな、無意味じゃないだろ。俺らにすごい役に立ってる。お前がいないとこの孤児院はダメだからな」


 「君には負けるよ13番。君は目標を手に入れた際にその目標が間違っていたと分かった時、その目標ができなくなってしまった時が来ても落ち込まずに前へ進めよ」


 「ああ。分かったよ」


 「は!?」


 突然6番が起きた。

 この雰囲気で起きてくるとは。


 「起きたのか6番。続きをするぞ」


 てか2番切り替え早すぎでしょ。


 「何で6番はそんなに楔が使いたいんだ?」


 「え、それはね。楔の内容は自分が必要としている力だからだよ」


 「そうなのか!?」


 「そうだよ。私はその場の状況が瞬時に判断できる力が欲しいんだ!」


 6番は目を輝かせている。

 6番らしい力だな。


 「私は流行りのものが好きだから、今のトレンドをしっかり知っておかないと」


 「6番らしいな」


 「あ、今心の中で笑ったでしょ13番!」


 6番が僕に手をポコポコ当てながら言ってきた。

 別に笑ってないけど。


 「ご、ごめんって」


 「分かればよろしい」


 何でそんなに上から目線なんだこいつ。


 「ありがとう。色々聞かせてもらって。あとはイメージトレーニングでもするよ」


 「分かった。頑張れ」


 「頑張ってね」


 そして図書室を後にした。

 これで基礎知識は分かった。

 楔を使うのが楽しみだ。

 

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