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少女は幸せのために  作者: 椿 蓮
2/2

続きです!

私が目覚めるとそこは知らない場所だった。薄暗く、凍えるほどに寒い。周りは霧が立っていて何見えない。すると、

「次の生贄はお前か。可哀想な奴だな」

という声が聞こえた。どうやら声の主は面白がっているようだ。そして私は凍える口を動かし、

「誰なの……!」

と震えながら聞いた。寒さで震えているのか怖さで震えているかは分からない。ただ声の主が只者でないことは確かだ。すると声の主は話し出した。私の問いかけも無視して。

「にしても、お前らは本当に可哀想だよな。俺が強すぎるあまりに……哀れに思うよ。」

私は哀れに思うのなら元の場所に返してくれと思った。そしてどうやら私の心の声は聞こえているらしく、

「元の場所に返せ?はっ、俺だってこんな所にいたくねぇよ、ただ昔ヘマしちまってよ、」と言ってきた。

私は焦った。どうして声を出していないのに私の思ったことがこいつに聞こえているのか。

そう考えていると、何かを語り出した。

「ある勇者が来たんだよ。俺の城に。ちょっと遊んで殺してやろうと思ってたんだけどさ、思ったよりしぶといやつで、余裕こいてたらいつの間にかここに封印されてたわけ」

私はその話を聞いて思った。なんてマヌケなんだろうと。そして咄嗟にあっしまった。とも思った。

すると声の主は笑いだした。

「俺のことをマヌケと言うとはな!」

マヌケとは言っていないのに。心を勝手に読んでいるだけでしょ。そう思った。すると

「だが、お前は他の奴らとは違うみたいだ。」そう言った。違うとはどういうことだろうと考えていると

「お前の魔素は尋常じゃないな。下手したら俺を吸収できるんじゃないか?」

そう言った。

「吸収?私が?」そう言うと

「本来、お前ら生贄は俺を封印するためにあるんだ。あの銅像には封印しきれないんだよ。」

封印?どういうことだろう?どうやって封印するのだろうか?私には分からない。

「お前らの身体に俺を封印させとくんだ。」

そう言った。てことは私の身体にこいつが入ってくるというわけだ。なんておぞましい。

「おぞましい。か。とはいえ俺もそろそろ疲れたんだよな。諦めて次の人生を始めてもいい頃だ。」

そう言った。何を考えているのか分からないが、こいつを私の身体に入れないといけないらしい。そう考えていると、

「その必要はない。いい機会だ。俺を吸収してくれ。」

そう言うが私は吸収の仕方が分からない。混乱していると「お前は何もする必要は無い」

笑いながらそう言った。すると私の周りを囲うように霧がが集まってきた。咄嗟に怖くなり強く目を瞑った。そして気づくと私の周りには村長と村の人そして母、イビーがいた

「どうやら目覚めてしまったみたいだ」

村長がそう言った。

すると母が

「良かった。本当に良かった!」

何が良かったのか分からない。なぜならあいつを私が吸収?してしまったらしいから。

そして村長が言った。

「これはまずい。違う者に変えないといけないな」

そう言って村長も村の人もイビーの方を見た

イビーはビクッと肩を上げた。

どうやら村長も村の人も母も私が吸収してしまったことを知らないらしい。まぁ、知らなくて当然か。そう思った。そして何がなんだか分からないイビーは村の人達から向けられる視線に震え出した。

私はイビーの肩をそっと叩き、

「大丈夫」

と言った。

そして村の人達へ向けて言った。

「違う者に変える必要はありません。何故なら吸収してしまったようです。」

笑顔でそう言うと村の人達や母の顔色が青くなり、化け物を見るように私を見てきた。すると母が

「嘘はやめなさい!」そう言った。

「嘘なんて着いていません」

と私は答えた。

そして村長が

「出来るわけない。吸収なんて……!嘘はやめろ!!」

そう言うので

「嘘は着いていません」

そう答えた。すると

「なんてことだ……おぞましい……!お前は化け物だ!村に危害を加える前にさっさと出ていけ!!」

と言ってきた。だがそう言われても困る。この村を出たら私には住む場所なんてないのだから。どうやって生きていけばいいのか。

そして私は村の人達に危害を加えようとも思わない。たしかに生贄にされたことや、その風習を教えてくれなかったことには腹が立つが苦しめようとまで思っていないのだから。そして私は言った。

「この村や人に危害を加えようとも思いませんし、吸収しただけです。何も危ないことは起きません。」

当たり前だ。あいつは私の魔素が尋常じゃないと言ったが、まず私は魔法を使ったこともないし、使い方すら分からない。そしてあいつを吸収したところでなんなんだという感じだ。すると母が

「イビーを生贄にしたくないから嘘を着いているんでしょ?」と震えながら私の肩を掴み何かを訴えるように言ってきた。だが、本当のことだ。

「お母さん、本当です。嘘は着いていません」

そういうと母は泣き出してどこかへ行ってしまった。

そしてイビーの方に目をやるとイビーは何が何だか分からない様子だ。

そしてこの状況をどうするべきか。そう考えていると、村の人が私の両腕を掴みだし、無理やり村の外へ出そうとしたのだ。

私は振り払おうとしたが抵抗は虚しく、村の外へ出されてしまった。最後に村の人が言った。

「もう二度とこの村に戻ってくるんじゃない」

そう言う村の人の目は冷たく、本心だとすぐにわかった。だが、私が何をしたって言うんだ。勝手に村長に呼ばれ、勝手に生贄になり、あいつがいい機会だと言って勝手に私に吸収されに来たのだ。そしてとても苛立っていた。すると遠くからイビーが来た。

「大丈夫?」そう問いかけてきた。

大丈夫なわけないが心配させたくはなかったので

「大丈夫」そう答えた。するとイビーが

「安心して!私の家から沢山の食べ物を持ってきたから!これを持って2人で村から出ましょ!」

と言った。食べ物を持ってきてくれたのは嬉しいが心配だ。だからイビーに言った。

「イビーは村を出なくても大丈夫なのよ?それにあいつは私が吸収してしまったらしいから貴方が生贄にされる心配もないのよ?」

だけどイビーは言った。

「確かに出なくてもいいかもしれないけど、私はレイがいないとここにいても意味が無いの。」

イビーは苦笑いしながらそう言った。

それにいくら吸収してしまったからと言ってイビーが安全な保証も無いかもしれない。もうこの村の人たちのことは信じることが出来ない。

「しょうがないな」

私は笑いながらイビーにそう言った。

イビーも笑って応えてくれた。

鳥の歌声を聴きながら、この村での思い出話に花を咲かせて、イビーと私は歩き出した。

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