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ダンジョンに囚われた魔物達

「メノールターナがダンジョンを造ったって言う事は理解したわ。でも、お母様が今どこに居てどうしているのかとその話はどう関係するの?」


 銀色の髪の毛をフワッと靡かせながら、セレネはまた倒木に腰掛ける。その言葉にカリアスはまた話を続け始める。


「ここからは俺と俺を育ててくれた人のあくまで考察になるんだけど」


 話があまり上手い方ではないカリアスは、セレネに申し訳なく思いながらも話を進める。


「ダンジョンは財宝を隠すために作られたってさっき話したけど覚えてる?」


 カリアスの問いに、セレネが真剣な目でコクリと頷く。


「ダンジョンには確かに財宝が多く眠っている。それだけではなく、古代人達が創ったと言われている貴重な魔道具も存在している。そんな宝の山は、ただそこに存在している訳ではないんだ」


 どう言う事だと顔を顰めながらセレネが訴えかけてくる。


「その宝を守るように、ダンジョン内では魔物達が侵入者を襲ってくる」


 その言葉にセレネが何かを察したようにハッとした表情を見せ、ゴクリと喉を鳴らした。


「ダンジョン内はいくつもの階層に分けられていて、奥に行けば行くほどより強い魔物達が立ち塞がっている。そして、最後の最後にボスとして現れるのがドラゴンなんだよ」


 そう、普通ドラゴンという存在はダンジョンの最深部であるボスの間にいる最強の魔物である。ダンジョン外にいるセレネの方が、カリアスからしたら異様としか言いようがない。しかし、何も知らないセレネは瞳を大きく見開き、そして期待の眼差しを向けている。

 母の居場所がダンジョンの最深部だと言う情報だけでも嬉しいのだろう。しかし、彼女はその事実の本当の恐ろしさを知らない。

 なんとも言えない罪悪感がカリアスの中に沸いてくる。しかし、誤魔化すわけにはいかないのだと、自分に言い聞かせた。セレネには事実を伝えるべきだと。


「はっきり言う。ダンジョン内にいる魔物は、()()()()()()()()()()()()。それはボスであるドラゴンも同じだ」


「どう言う事?」


 カリアスは今まで冒険者として日々ダンジョンに潜って来た。だからその異様さを見に染みて感じとってきた。


「ダンジョンにいる魔物は空っぽだ。自我も何もない。ただ『侵入者を襲う』それしか無い。他の感情は何もないんだ。きっと、ダンジョンに入る前の記憶なんて綺麗さっぱりなくなっている……」


 ダンジョン内にいる魔物は姿形だけを残して死んでいるも同然だった。まがりなりにも召喚士としての才能を持っているカリアスには、魔物達の声や感情を少し読み取ることができる。それはこの森に来て精霊達の感情を感じたように、他の魔物でも可能だった。

 しかし、ダンジョン内にいる魔獣からは何も感じなかった。そのことから、カリアスは普通の魔物達とダンジョン内の魔物達は全く別のカラクリで産まれているのかと思っていたくらいだ。だが、その仮説はセレネからの情報で覆された。


(逆に、彼女にとっては最悪の展開だよな……)


 せっかく居所を絞れたと言うのに、母はもう既に記憶を無くし、感情を失い、ダンジョンの兵隊としてその命をとりにくる冒険者達をただ待つだけの存在になってしまっている。その事実が今、まだ幼さを若干残しているこの小さな体に襲いかかっている。


(辛いよな……)


 カリアスはダンジョンという存在が嫌いだ。それは自分の秘密と関係しているというのもあるが、ただ単純に魔物達をまるで使い捨ての人形のように扱っていることが気に食わないのだ。

 魔物を同じく扱う召喚士として、そんな扱いをするダンジョンという存在が許せなかった。


(申し訳ない……本当に、申し訳ない……) 


視線を下に向けたまま肩を震わせるセレネの小さな体を目の当たりにして、カリアスはただ心の中で謝ることしかできなかった。

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