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釣りガールズ  作者: みらいつりびと


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52/78

ブラックバスを食べる。

 特筆すべきことなく、夏休みが過ぎていく。

 美沙希はひとりで釣りをし、カズミは毎日水郷釣具店でバイトをしている。

 美沙希がウシボリで釣りをしているのを、立花真央が見ていた。

「琵琶さんはどうしたの?」と真央が美沙希に訊いた。

「アルバイト」

「ふうん。あなたたちは何をするのもセットだと思ってたわ」

「私もそのつもりだった。バイトもふたりでしようと思ってた。でもだめだった。対人恐怖症の私にバイトは無理」

「確かに、あなたにはむずかしそうね」


 真央が美沙希の隣に立った。

「食べられる魚を釣りたいわね」

「ブラックバスは食べられる」

「そうなの?」

「そう」


 美沙希がバスを釣った。

 30センチはほどのサイズ。

 彼女はバスのえらを引きちぎった。えらぶたから血が流れた。

 もう1匹釣って、同じように活け締めにする。

「委員長の家の台所を貸してもらえる?」

「いいわよ」


 美沙希はブラックバスをまな板の上に置いた。包丁を使って内臓を取り除き、鱗を剥ぎ取り、頭を落とした。

 背骨に沿って包丁を入れ、3枚に下ろした。

 水洗いし、ぬめりを取った。

 ブラックバスの身に塩と胡椒を振る。

 小麦粉をまぶす。

 焼くと皮が縮れるので、切れ目を入れておく。

 フライパンでオリーブオイルを熱し、そこにバターを溶かす。

 魚の身を皮側から焼く。

 軽く焦げ目がついているのを確認して、ひっくり返す。

 両面に焦げ目がついたら、ブラックバスのムニエルのできあがり。


「食べて」と美沙希が言った。

 おそるおそる真央が箸をつける。

 口の中に入れて、舌で味わった。

「あら、美味しい」

「ブラックバスは白身の魚で、淡白な味。キタトネ川は水が濁っているから、身に臭みがある。ムニエルにして濃いめの味付けにすると美味しく食べられる」

「知らなかった。食べる魚とは思っていなかったわ」

「海の魚には美味しさでかなわない。でも食糧危機になったら、私はバスを釣って食べる」

 バスのムニエルを食べながら、美沙希は言った。


 真央と別れて、美沙希はひとりで釣りをつづけた。

 カズミがいなくて寂しい。

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