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釣りガールズ  作者: みらいつりびと
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マエ川での取材

 取材は先日70センチの鯉を釣ったワニ川水門から始まった。

 あの鯉を今日釣ったことにして、小鳥遊は記事を書くと言う。

 美沙希は嘘をつくのが嫌だったが、いい記事にするためだと強く言われて、結局は同意した。

 7月20日。曇天だった。


「水郷釣具店、雇ってくれることになった。明日から働くよ」とカズミは言った。

「そう。よかったね」と美沙希は答えたが、目に見えて元気がなくなった。自分だけ取り残されてしまったように感じたのだ。

 ワニ川水門からマエ川に移動したが、美沙希の釣りは精彩を欠いた。

 スピナーベイトを投げていたが、木の枝に引っ掛けて、ルアーをロストするなど冴えなかった。

 カズミはノーシンカーリグで35センチと27センチのバスを釣って、ノルマを果たした。

 しかし美沙希はついにノーフィッシュに終わった。日没までバスを手にすることができなかった。

 

「約束の報酬はカズミくんにしか渡せない。美沙希くんはノーフィッシュ。ノルマ未達成のため、5千円は払えない。鯉の報酬は先日渡した3千円だけだ」

「明日、取材してもらえませんか」

「だめだよ。おれも忙しいんだ」

 小鳥遊はにべもなく断り、車に乗って帰った。


 美沙希は落ち込んでいた。

「バイトもだめ。釣りもだめ。私はもうだめ……」

「そんなに思いつめないでよ。1日釣れなかっただけじゃない。来月がんばろうよ」

「何をやってもだめ……」 

 ひどい鬱になっていた。


 どう慰めればよいのだろう?

 パートナーを元気づけたい。

「今日はあたしがおごるよ。ラーメン食べに行こ」

「うん。ありがとう……」


 純樹でラーメンを食べたが、美沙希は落ち込んだままだった。

 釣りの失敗は釣りで取り返すしかないか、とカズミは思った。

 来月の取材、必ず美沙希に釣ってもらわなければならない。

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