新しいパーティーの結成
雑踏の中、薩摩はギルドの建物を目指して進んでいく
今日はパーティーを組んでから初めての冒険者登録の日
それぞれ自身の居た冒険者ギルドから脱退し、ここ始まりの都市《 ロンド》にて1からスタートして行こうと皆で話合った結果である
それぞれ財布事情も異なるので宿が別々なので、こうしてギルド前で待ち合わせをしている
始まりの都市とあるだけ初心者冒険者やその都市に住む職人などが通りで溢れており、活気がある
通りには所狭しに店が並んでおり、店の往来が絶えない
人混みを掻き分け、通りの1番目立つ二階建ての建物へと近づいて行く
その建物は多くの人の往来が想定されて作られている為正面扉が横に大きく、他の建物に比べて大きさが2倍近くあった
正面扉は開け放たれており、扉の前には階段があり、人が忙しなく行き来しているのが遠目からでも分かる
ギルドの階段の左右には銅像が建てられておりギルド創設者である人物がにこやかに冒険者を迎えている
自分から見て左側の像の近くに目的の人物達を発見するとそちらに向かって急いで向かう
「おーい!!2人ともお待たせ!!」
薩摩は2人に向かって手を振り声をかける
雑談をしていた2人は薩摩に気づくと軽く手を振り返す
「遅いわよ、薩摩。集合時間から10分も遅れてる」
そう言って眉を潜める魔法使いの格好をした少女が薩摩に文句を言う
少女の名はアーネ
正式にはアーネラルド・フィランシェルと言い、エルフの少女である
魔法使いの帽子と腰の丈まである亜麻色の長い髪を下側で2つに結んでいる
ワンピースの上には腰までの長さのポンチョを羽織っている
「まあまあ、いいじゃないか。そういう日だってあるさ」
そう言って少女を宥める背の高い美男子がシオミンだ
中性的ではあるがどこか幼さを残す顔立ちで全体的に白で統一された軍服を着ている
帽子を目深に被っているが所々から癖っ毛が出ていて、本人曰くかなり頑固な癖っ毛らしく半ば諦めているそうだ
こちらはアーネ程では無いが長い白髪を1つに纏めている
腰に剣を2本帯びており、冒険者の中では珍しい双剣使いである
彼が言うには獣人らしいが詳しい種類はよく分からない
そして俺、薩摩はダークエルフと人間のハーフ(と言ってもダークエルフの血は薄く、父方の先祖がダークエルフだっただけ)で、両手剣を使う
目元のくまやつり目のせいで人からあまりいい印象を持たれないが、特に気にはしない
婆ちゃん特製の魔法耐性のある赤いマントにローブ、中には普段着の上にレザーアーマーを着ている
シオミンとは異なり魔法を使って戦うので純粋な剣士ではなく魔法剣士である
不服そうなアーネに謝罪しつつ本来の目的を遂行する為ギルドの中へと入って行った