FPSをしましょう
東方学園譚番外編です。
優曇華含む自機組は1年。3、4面ボスは2年です。(文は諸都合により2年)
十字の交差した所をアカイロプレイヤースキンの頭へ持っていく。そしてボタン長押し。
『critical hit』『@TaninoKotisanaを倒した』
先程撃った残念なプレイヤーは私の知人だ。ゲーム全般が好きな友人。ただ趣味が合う者同士な訳でゲーム以外の話は滅多にしない。さて、奴の懐を弄りたい所だが盟友が居るかも知れない。慎重に周りを見渡してから・・・。と突然誰かに撃たれる。周りに遮蔽物はある筈なのに何故。いや、ゲームではよくある話で細かい所を狙えるプレイヤーも中に居る。
『貴方は@SeekerMaregamiにやられてしまった』
判断を下す前に倒れる。自分を撃ったプレイヤーは良く知っている。どのFPSにも居る人だ。画面は赤くなり、次に出た文字は
『game over』
『次は頑張りましょう』
全てを淘汰しようとした所を。興醒め物だ。もう終わろう。
ヘッドフォン越しにドアのノック音が聞こえる。
「ご飯だよー」
「はーい」
ヘッドフォンを机上に置いて伸びをする。ゲームの事を深く考えすぎては授業に支障が出る。頭を使い過ぎてお腹が空いたことに漸く気付く。早くリビングへ行こう。
ステージはどこかの山。四方八方緑色。
あのプレイヤーは迷彩服の効果を知らないで平原を走っている。しかもアオイロ。あの侭だと格好の餌食。残念な奴だが止めに行くか・・・?私はリーダーの役目を担っていないが。
即席の仲間の一人は撃たれた。木陰に隠れた何かを見つけ、形だけの報復を与えた。木々の合間を縫って合った瞬間ボタンを押す。
『hit』『@redeyethemoonを倒した』
クリティカルヒットでは無かったがどちらにせよ1キル。しかしこのアカウント名、いつか見た様な?
未だ人の踏み入らぬ土地に残雪ある時期。風も喧しく鳴けば頬も凍る。しかし、時が経つにつれ、夏が見えてくる。
「うーん。昨日の対戦行けたと思ったんですけどねー・・・」
場所は改め私達の学校。未だSHRは始まっておらず、人影は少ない。ゲームの事は秘密と言う訳でもないけど、同じ中学の人が少なく自分の性格上、関わらない生徒が多い。
件の@TaninoKotisanaもとい東風谷早苗は机に突っ伏す。
「私もあの直後やられた」
中学校と名の付くデカいガキ達の巣窟から抜け出した春休みにもFPSをしていた。其処で感じた物は「勝てない相手にはどうやっても勝てない」、と言う事だった。
「対戦?ゲームの話ですか?」
同じクラスの魂魄妖夢。娯楽と言う物を知らない。否、彼女にとっての娯楽は居合いか剣道。コンピューターのゲームを知らなさそう。
「そう。この前話したのと違うゲーム」
妖夢は何時でも興味津々に聞いて来るので話すこちらも嬉しい。
「ゲームはやり方が解らないです」
「スポーツと同じで感覚勝負です。動画で見てるだけでも楽しいですよー」
こんな誘い文句で仲間を増やしていくのか。宣教師レベルに見える。
「今度皆でテレビゲームしましょうよ!」
趣味が全く合わないこの面子で?仮登校に同じゲームをやっていたと言うだけの理由で話し掛けられた私とはもう世界が違うぞ?
「私はパス」
銀髪でモデル体型の十六夜咲夜は冷たかった。そりゃそうだ。見た目からそうだ。先ず住む世界から違うというフレーズを此処で使うとは思わなかった。
「用事が多くって時間が取れないです」
そう言いながら席を立つ。黒板前に居た霧雨真理沙と博麗霊夢に気付かれないよう近付き声を掛けた。
背丈は小さいし咲夜からも存在感が薄いと言われる程気配を感じさせない。居合いやら剣道やら習ってると聞いたが真っ正面の一対一より闇討ちが出来そうだ。
嗚呼・・・駄目だ・・・ゲーム脳だこれ・・・。
「一つ良い?」
別世界の住人は珍しく私に耳打ちして来る。話す相手は早苗ではなくて良いのか。
「妖夢、ホラーゲームがトラウマで、ゲームの殆ど触れないの」
晴れた休日。マンション近くの公園のベンチ。病院が終わって一休みしている。ゲーム雑誌を多く置いている綿月総合病院。
「あれー?お姉ちゃんもお外でゲームするのー?」
なんだこの小学生。今は待ち合わせしてるんだよ。
「うちのお姉ちゃんも月の赤い目の兎さんでゲームしてるんだよー」
「へえ」
月の赤い目、何処かで見たな。あのゲームだったか。
「ほらお前、他人に迷惑かけるなよ。ごめんなさい」
「いえ」
「あれ」
「あ」
早苗と待ち合わせをして合流。駄菓子屋の中でレジ横の椅子に座る紅白の同級生と会った。しかも早苗が意識する奴。
「おや、最近越してきたばかりの東風谷さん。友達かい」
奥から誰かが出て来た。緑で長髪のヤンキーっぽい雰囲気の人。そうか、早苗はこの町に来たばかりだったのか。初耳だ。
「う・・・まあ・・・。いや最近て、それ早く言って?」
博麗さん、はっきり言っても良いんだよ。私もなんか友達と言っても良いのかよく解んないから。
「・・・んで此処にいるの・・・」
そっくりそのまま返してやろうか!?なんで此処にいるの!?
小声で言っても地獄耳持ってそうだから止めておいた。
「・・・アルバイト?」
「馬鹿?」
何故聞いただけで罵倒されなければならぬのか。絶対おかしい。絶対。違うならなんなのか答えてほしい。早苗が物を選んでるのに此方を向かないで机上の物を弄ってる。それも業務の内に入ってなかったら阻害してる所だったよ。
「おおお!?」
奥からまた一人見えた。博麗さんの親友霧雨さん。因みにソースは咲夜と妖夢。何故彼女らは知って居るのか。偵察隊なのか暗殺隊なのか。やっぱり妖夢はアサシンか。
「あ、副店長。この二人は隣のクラスの人達です」
普段から調子乗ってるこいつが敬語とか珍しすぎて明日は槍が降るかな。まあこれから槍が降る戦場へゲームで行くけど。本当に先生に対しても敬語は使わないのになんで。
あと副店長だった。
「副店長さん、この二人は?」
早苗は無視を決めた訳じゃなかったのか。
「霊夢は手伝いさ。魔理沙はうちの店員だよ」
手伝いと店員の違いとは。って、やっぱりアルバイトとそうそう違い無いじゃん。なんで私罵られたの!?
「因みにアリスと幽香は言葉巧みに回避していきましたとさ」
諦めた顔をしている。うん。お疲れ。
「学校で仲良くやってんのかい?」
「ええ。似た者同士と知ってからは切磋琢磨しています!」
「良いことさ」
早苗の言う通りで、似た者同士で争ったりしてるけど何処かが違う。私が垣間見たシーンはそんなポジティブな言葉で言って良い物でもないような。
博麗さんそんな睨みつけないでよ。始業式の日に通学路で因縁付けたの三人だけで私居なかったよね?恨まれる要素あります?
「やっぱり悔しいです・・・」
学校で会っても不貞腐れてるゲーム宣教師。総帥と呼んでも良い感じ。
「FPSとか、シューティングやってる年数が違うのよ」
実際、何よりも得意だ。早苗はオープンワールド系や上から見る2Dゲームが主で有ろう。
「段幕専門家・・・」
「だ、段幕専門家?」
ゲーム総帥からそんな称号を貰えるとは実に有難き幸せで御座いま候。
「そうやって調子乗って自爆したの何回も見た事有るから気を付けてね」
そんなに見る機会って有ります?てか今心読んだ!?異世界の住人の方だから有り得なく無いのか・・・マジもんか・・・?
「特に妖夢、貴方とかそれでしょ」
「・・・先輩に誉められたら純粋に嬉しいじゃないですか」
魂魄さんがドジを踏んだって、聞いた事あるかもなのです。と聞いた妖夢は声の主目掛けて突進するのを異世界の住人が雁字搦めで食い止める。
「次は容赦しないからなあ!」
「ほーう、やってみろ。中堅の彼奴にちくってやるのぜ!」
「『私を困らせるな』って言いそうね」
「『彼奴』ではない。馬瀬先輩だ!」
「そもそもこっちの魂魄さんでもない可能性もあるのです」
此方の三人が彼方側の情報を持っていると同時に彼方側の三人も多少此方側の情報を握っていると言うことか。
「こっち?」
何その異世界にもいるような言い方。あれ、妖夢も異世界の住民なの?普通の世界にいるの私だけ?
「妖夢は双子の姉。妹は別の所に通ってるの」
「へえ」
双子だったというのも驚いたし姉というのも驚いた。私も一応姉の立場にあるのだが苦労を感じれ・・・主にこの人達で苦労しているのか。
「しかし、あの霧雨が厄介ね」
「先輩が彼方側かも知れません。多分霧雨に付くので」
しかし、高校初っ端からこんな争いやってていいのかな。教室の皆見てるのに。人目を考えて欲しい。
「な、酷いよな」
「どうしたの」
馬瀬さんは急に話し掛けてくる時があるし私は半分聞いてない。
「後輩達がもう闘争心燃やしてるって」
隣の犬走さんが補足してくれる。安心設計。
「ライバルがいるのは良い事と思う」
「そうか。そうなのか。そう送っておこう」
「メールね」
「そうだ稀神さん。居合部の後輩さ、なんかゲーマー探してるみたいなんだ。放課後1年1組に直ぐに行けるか」
「まあ。掃除ないよ」
ん?ゲーマーであるの話したっけ。まあ良いか。
「有難い」
メールをポチポチ打つ馬瀬さん。キーボードモードでない様子。
「何故そっちに後輩はいてうちには居ないのか。アプローチが足りないのか」
「こっちのも幼馴染でね。あと剣道部とは言ってもどうせ写真部の餌食になるんだろう」
「あやさーん!」
お疲れ。取り敢えず行くか。
来てみたけどスキル:人見知りが発揮されて脚が震えてる。次いでに動悸も収まらない。
「どうしました?」
「え、えっと、ゲーマー探してる人って」
「嗚呼、私ですね。まあ広めてくれてるのは別の人ですが」
良かった。他の人だったらもう帰ってる所だった。
「えっと、ゲーム部創立のお手伝いをして貰いたいのですが」
「・・・確か、創立は二人でも大丈夫だった筈ですね」
「ええ。ですが、是非、先輩のお力も必要だと思いまして」
んん?もう一人いるのか?
「もう片方は掃除当番ですが。あ、名前。私は綿月鈴仙と言います」
「稀神サグメ。稀な神と書いて稀神。サグメは片仮名」
「稀な神・・・」
「綿月・・・?」
「「・・・!?」」
そうこうして、ゲーム部は創立された。サグメ部長を中心として活動を行っていく。サグメ部長はおっちょこちょいの割に運は良くて早苗には容赦ないし私にテクニックを少し教えてくれる。
「なんか風見さんに『ゲーム部創立おめでとう』と凄い剣幕で言われました」
「風見さんって理事長ご贔屓の子」
風見さんは隣のクラスの人。博麗側。理事長は腹黒くて私達に興味無さげな方。
「贔屓とか」
「で、どうします?」
「赤対青のプライベートマッチ」
サグメ部長も私達も始めたばかりのゲーム。
「余りますね」
「ゲーム出来るの一人知ってる」
「楽しみです!」
私鈴仙も早苗も@Sudenona氏に負けて部長の超能力者疑惑が何故か報じられた。
閲覧有難う御座います。うちミスあるかも知れません。スマホだもの。