脱衣の天使たち
作者の脳内会議・・・
「おい、こんなもの投稿したら、作風修正できないぞ・・・」
「いやぁ、でも、折角書いたんですから・・・」
「そうですよ、昨日、余りの暑さに【仕事さぼってビール飲んだ勢い】が無駄になりますよ」
「いやいや、酒飲んで書いたモノを、人目に晒しちゃいかんだろ」
「PVが、原因不明のプチブレイクしたんで、浮かれちゃったんですよね」
「ただでさえ、ドン引きされてんだから、これ以上は、作者のイメージも修正不可能になるぞ」
「むしろ、もっとドン引きさせて、一周しちゃえば、元に戻ったりして・・・」
「ですよね~」
「それじゃ・・・ポチっとな!」
「ああ、こら!【投稿】押しちゃ・・・」
・・・という訳で、『暑中見舞い&大ヒット御礼!』企画の短編です。
どうぞ、お読みください・・・
それは、熱い、暑すぎる夏の出来事だった。
はぁ、はぁ・・・
息を切らして一人の女が交番に駆け込んだ。
「お、おまわりさん!変な男が・・・変態が!」
「なに!変態だと!」
「ええ、そこの道を、全裸の男が・・・」
女は、なんとか息を整えて警官に向き直ったが、彼を見るや否や甲高い悲鳴を上げた。
「キャー!!!ここにも変態が!」
女は悲鳴と共に交番から逃げ出した。
「お、おい!君!」
「なんだ?どうした?」
女の悲鳴を聞きつけ、交番の奥の部屋から警官がもう一人出てきた。
「いや、それが、その・・・本官を見て『変態』だと・・・」
「あん?何したんだ?お前・・・」
「いや、私は何も・・・女性が駆け込んできて、本官を見た途端悲鳴を上げて・・・」
「本当か?最近、警察の不祥事がいろいろと問題になっているからな、我々も襟を正してだな・・・」
キャー!!!
交番から少し離れた所で女の悲鳴が響く。
「この声は、さっきの女性ですよ!」
「何!」
交番を飛び出す二人の警官。
悲鳴が聞こえた場所には、すでに人だかりが出来ていた。
人の輪の中で怯え座り込む女性。
人垣を掻き分け一人の警官が女に駆け寄る。
「どうしました?」
「い、いやぁ!こっちに来ないで!」
「落ち着いて!お嬢さん!私は警察官です。ほら、警察の帽子を被っているでしょう」
「いやー!来るな!あっち行け!」
パニクる女に、たじろぐ警官。
「なんなんだ?一体・・・」
もう一人の警官がその様子に驚くと、居合わせた一人の男が彼に話しかけた。
「ずっと、あの調子なんですよ。おまわりさん」
「ずっと?」
「ええ、人を見ては『変態だ!』って叫んで・・・近寄るなって・・・」
「怪しい人物は見なかったかね?その『変態』みたいな輩は?」
「いいえ、どちらかといえばあの女性の方が・・・」
「うむ、確かに変だ。あの服はおかしい・・・」
そこへ、一台のパトカーが止まる。
ドアが開き、一人の女性警官が降りて来た。
「うわっ・・・すげーイイ女」
「誰だ?あの美人?」
「警官だよな、帽子被っているし・・・」
野次馬の男たちが口々に呟く中、二人の警官が女に敬礼をする。
「ご苦労様です!署長!」
「うむ、ところで、なんの騒ぎだ?この人だかりは・・・」
「はい、あちらの女性が悲鳴を上げて座り込んでおりまして・・・」
「彼女か・・・ん?あの服・・・」
「警官の私どもにも『近寄るな!』と話を聞いてくれません」
「そうか・・・よし、女同士だ。私が彼女に話を聞こう」
女署長が歩き出すと人垣が二つに割れた。
「どうしました?お嬢さん」
屈みこんで女性に話しかける署長。
「な、な、なんなんですか?あなた・・・」
「私はこの町の警察署長です。何があったのか、お話いただけますか?」
「なにも、クソも、ねーよ!」
「落ち着いてください。同じ女性として話を聞きますから・・・」
「聞きますからじゃねーよ!話をする前に・・・」
優しく微笑む署長に女はブチ切れた。
「お前ら全員、服着ろよ!!!」
「はい?」
首を傾げる女署長。
「なんで?みんな全裸なのよ!男だけじゃなく、女のあなたまで!靴すら履いていないのに帽子って、おかしいわよ!ここは何?変態の町?変態特区かなにかなの?」
ざわざわざわ・・・
男どもがざわめく中、女署長は言った。
「なるほど、どうやら貴女は、何かの手違いでこの町に足を踏み入れてしまったようね・・・」
「はぁ?!」
座り込む女は、未だキレ気味だった。
「たしかに、ここは特区よ。いわば、『全裸特区』。町全体がヌーディスト村のようなものなの」
「ぜ、全裸特区?」
「そう、政府の『ふるさと創造』政策によって認められた、れっきとしたヌーディストのための自治体よ」
「ヌーディストの町?」
「ええ、町には出入りできるルートが四か所しかなくて、どれも検問所を通過しないと入れない筈なのだけれど・・・」
「私は、温泉宿の無料送迎バスに乗ってて、バスを降りてから宿屋に行く途中に、ちょっと寄り道したら・・・」
「やはり、ピーピング野郎どもの、秘密ルートが存在するという噂は本当みたいね」
「じゃ、じゃあ、ここは本当に全裸の町なの?」
「そう、ここは裸をこよなく愛する者の町!その名も『善裸町』よ!」
「じゃ、じゃあ、みんな変態では・・・」
「ええ、皆、善良な町民よ。どちらかと言えば、服を着ている貴女の方が変質者かしら」
「はぁ?私が変質者?冗談でしょ!」
落ち着きかけていた女が、またキレた。
「この町には条例があってね、町長か警察署長の許可がない限り、『着衣』は犯罪なの」
「条例って、政令指定都市でもないのに、そんなの嘘よ!」
「いいえ、我が『善裸町』は『性令指定都市』性解放特区なのよ!」
「そんなの聞いたことないわ!」
「あなたも、いますぐ全裸にならないと逮捕ね。取り調べで一枚ずつゆっくりと、まるで拷問のように、服や下着を脱がされる事になるわよ」
「そんなぁ・・・」
「さあ、どっちがいいの?自分で脱ぐのと、私に脱がされるの・・・」
「いや~!やっぱ、この人変態だぁ~!」
「・・・っていう夢を見たんですよ」
「ほう・・・」
「私、欲求不満なんですかね?どう思います?おまわりさん」
「君ねぇ・・・だからと言って、コートの下スッポンポンで街を歩いちゃ いかんだろう」
「スッポンポンって、ちゃんと靴履いてますよ!ほら、可愛いパンプス。私のお気にです」
「いやいや、それって革靴と靴下だけ履いた全裸の変態男と何ら変わりないから、夜な夜な出没する変なオジサンだから!」
「失礼な!私は女です!オジサンではありません!」
「確かに、見た目は綺麗なおねえさんだが・・・」
「そもそも、私は自らコートをはだけて裸体を見せるようなマネはしてません!」
「いやいや、風に煽られて上も下も丸出しで歩いていたのは誰かね?君だよね!今、本官の目の前にいるあなたですよね!」
「はぁ、あの悪戯な風・・・」
「おいおい、君、なに うっとりとしてるんだ!やっぱり人に見られて喜んでいるじゃないか!」
「あれ?いけませんか?」
「ダメだよ!そんな趣味は!」
「でも、おまわりさんもやった事ありませんか?」
「何をだね?」
「中学とか高校の時、スカートの下ノーパンで登校した事・・・」
「ないね、そもそも私はスカートなど履いたことがない。男だから」
「ああ、あのドキドキ感、あの何とも言えない高揚感・・・」
「君、もしかして変態か?」
「変態だなんて・・・そんな、照れるじゃないですか・・・」
「ああ、真性だね、こりゃ・・・『変態』と言われて喜ぶのが真の変態なんだ」
「でも、ただ『変態』ってだけじゃ、罪に問えないでしょ」
「あれ、君、知らないのかね?このあいだ施行された『変態防止法』・・・」
「変態防止法?」
「ああ、『変態』だという事、それ自体が罪なんだよ」
「なんですか?それ!罰金とか取られちゃうんですか?」
「いや、即、極刑」
「ええ?」
「しかも、その執行権限は我々現場の警察官にあってね・・・」
「ちょ、ちょっと、おまわりさん!そんな、拳銃をこっちに向けないで!冗談よね、冗談ですよね!」
「いや、『変態』は社会悪、市民の敵だ」
「ま、ま、待って・・・私は『変態』じゃ・・・」
警官が引き金を引いた。
バン!
「・・・ってとこで、目が覚めたんだけど」
「どんな夢オチループじゃ・・・」
「すごい怖かったんだから」
「あんたさぁ、見た目カワイイとりまJKなんだから、そんな夢見んなよな」
「ねぇ、これはエロい夢?それとも怖い夢?成績学年トップの才女の意見を聞かせて・・・ああ・・・」
「ん?どした?朝っぱらからエロい声出して、サカリか?」
「あのね、実は、今日ノーパンなの・・・」
「はぁ?見せパンもリアパンも無しで登校?」
「うん、電車の中とか凄いドキドキだった!」
「ああ、こりゃ変態だわ、変態JKだわ・・・」
「なんか、こう、解放感と背徳感が色々入り交じって、もう癖になりそう・・・」
「重症だ・・・てか、背徳感って意味わかって使ってる?」
「ねぇ、今度一緒にやろうよ!『ノーパン耐久8時間』!」
「完走しても、何の感動も無いわ~、リスクだけしか無いわ~」
その時、通学路に一陣の風が吹いた。
「キャッ・・・もう、エッチな風・・・」
その後、通学路に居合わせた男子生徒たちによって
ノーパン登校少女には『天使ちゃん』という仇名が付けられたという・・・
おわり
お読みいただき、ありがとうございました。
この頁に来ていただいた事に、心より御礼申し上げます。
尚、この作品は、作者のイメージ及び作風保護のため、予告なく削除する場合があります。誠に勝手ではありますが、御了承ください。