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[第一部完結]サラリーマンが異世界でダンジョンの店長になったワケ  作者: エルリア
第四章

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裏:城塞都市サンサトローズ観光

 表通りをほぼ歩く事無く、裏通りをあっちへ抜けこっちへ抜け。


 円状になったサンサトローズであれば城壁を目印に歩けばいずれかの大通りにたどり着けるようになっているのだが、結構歩いているのに今だ大通りへ出ることは無かった。


 今自分はいったいどこにいるのだろうか。


 見上げると城壁が見えるのでサンサトローズの中をうろうろしていることだけははっきりと自覚できる。


「もうすぐ着くから、もうちょっとがんばれよ。」


「何故こんなにややこしい道ばかりをとるんでしょうか。」


「そりゃあ、本当に秘密にしたい店はわからないように連れて行くのが基本だからよ。」


 こんなにややこしい道を通らなくても他所者にはわからないから安心して欲しい。


「確かにその考えには賛同しますが、そろそろ空腹も限界ですよ。」


「空腹は最高の味付けだって俺の婆さんが言ってたぜ、っとここだここ。」


 見た目はどう見ても廃墟。


 失礼、古びた家。


 スラム街までは行かないが周りの家々も少しくたびれている街の一角。


 ここに秘密のお店があるって言われても絶対信じないよな。


 俺が今、信じていないわけだし。


「あー、ここですか。」


「見た目はこんなだけどな中はまともだ。これも裏の世界じゃ基本だぜ。」


「私は表の世界で十分ですよ。」


 ボロボロの扉を開けて廃墟の中に入る。


 リビングを抜けて奥の部屋に入ると地下への入り口がぽっかりと開いていた。


「ったく誰だよ開けっ放しにして入ったのは。」


 コッペンが悪態をつきながら地下への階段を降りる。


 家の中にある地下への階段ってドラ〇エかよ。


 開けっ放しはまずそうなので内側のフックを引っ張りながら彼の後を降りて行く。


 完全に閉じると真っ暗になると思いきや、下からの明かりで思ったほど暗くは無かった。


「おい、上の扉開けっ放しだったぞ。」


「ホントですか!最後に入り口使ったのは誰だよ。」


「すみません、食材買いに行ったときにあわててて・・・。」


「バカヤロウ!何度注意したらわかるんだ。」


「すみません、勘弁してください。」


 ウェイターを手に持っていたナイフの柄で叩く料理人。


 おーい、お客さんが見てますよ。


「すみませんコッペンさん、以後気をつけさせますんで。」


「殺さない程度にしとけよ。今回の奴は長続きしてるんだろ?」


「おかげ様で半殺しにしても逃げずにやってます。見た目と違って根性だけはあるみたいなんでしっかり鍛えてやりますよ。」


 半殺しにあって逃げないとか。


 ブラック過ぎるだろ。


「自分、料理長の味を覚えるまではどこにも行きません!」


「バカヤロウ、お客様の前に出てきてんじゃねぇ!裏で皮むきしてろ。」


「はい!」


 まぁ本人がそれでいいなら別に俺はいいんだけどさ。


 せめて聞こえないところでやるとかさぁ・・・。


「口は悪いが料理は一級品だ、好きなもん頼んでくれ。」


「ここの流儀はわかりませんので料理長にお任せします。」


「コッペンの旦那、この人は。」


「あぁ、こいつが噂のイナバシュウイチだ。名前ぐらい聞いたことあるだろ、騎士団長様の旦那だよ。」


 裏の世界でどんな噂になってるんだよ。


 しかも説明がシルビア様の旦那って。


「あぁ、あの盗賊潰しの!」


 いやな通り名だなおぃ!


「裏で私はそんなそんな通り名で呼ばれてるんですか。」


「他にもいろいろあるぞ、乙女殺しとか必殺商人とか騎士団潰しなんてのもあったな。」


「良くない通り名しかないじゃないですか。」


「それだけインパクトが強かったって事だろ、名前が売れてむしろ好都合じゃないのか?」


 確かに名前が売れればそれだけで集客のきっかけにもなる。


 炎上商法とまでは行かないが近いものはあるなぁ。


 自分の知らないところとはいえそんな風に呼ばれているって言うのは少し傷つく。


「いやまぁ、名前が売れればそれが一番なんですが。」


「ですが盗賊団を潰してくれたおかげでうちも仕入れがやりやすくなりましたし、客も増えましたからありがたいですよ。こんな店ですがゆっくりしていってください。」


「つまりは知らないところで感謝されているという事だ。通り名はまぁ時間と共に消えていくだろ。」


「まともな通り名が残ることを期待してますよ。」


 店には料理長と先ほどのスタッフしかいないようで、水を出すと料理長は中に引っ込んでしまった。


 こじんまりとした店である。


 良い言い方をすれば隠れ家風。


 階段を下りると二人掛けのテーブルが二つに5人ほどが座れるカウンターがあるだけの小さな店だ。


 石造りの壁にはランタンが掛けられ、柔らかい光が良い雰囲気を醸し出している。


 横にいるのがこのオッサンじゃなかったら最高だったのに。


「飯を食ったら次はどうするか、普通なら非合法の賭場とか闘技場に連れて行くんだが興味ないんだろ?」


「興味はありますが後々噂になっても困りますから遠慮しておきます。」


「ってことは残るは一つだな。」


 非合法な場所じゃなくて危なくない場所。


 そして男が行く場所といったら。


「そりゃあ、あそこしかないですよねコッペンの旦那。」


 料理長が出来たての料理を持ってやってきた。


 シチューだろうか。


 目の前に置かれたスープは少しドロっとしていて肉や野菜の形が見て取れる。


 ビーフシチューのような色だな。


「これがここの名物カレィシチューってやつだ。」


 カレーだった。


 この香辛料のにおい、間違えようが無い。


 まさか異世界でカレーが食べれる日が来るとは思っていなかった。


 異世界グルメ物ではレア料理のはずなんだがこんな簡単に出てきていいのか?


「昔うちで働いていた流れの料理人が残して行ったレシピなんですが、なんでも異世界の料理だとかなんとか。香辛料とかいうものをたくさんいれているんですが、こっちではほとんど食用に使っていなくて市場にはなかなか出回っていないんですよ。」


 見た目はまさしくカレー。


 残念ながらお米は無いようで横にはパンが添えてある。


 カレーがあるならどこかにコメがあってもおかしくはない。


 いつの日か出会える日は来るだろうか。


「この肉は何の肉を使っているんですか?」


「肉はアームドチキンを使用しています。味は淡泊ですがこの方が味がよくなじむんだとか。」


「ここの料理も久々だな。」


 コッペンが料理に口をつけたので俺もいただくとしよう。


 においも見た目もカレーなんだが、名前がカレィシチュー。


 なんでわざわざシチューなんだろうか。


 スプーンですくい、口へと運ぶ。


 な、なんだこれは。


 カレーのはずなのにシチューを食べている。


 何を言っているかわからないと思うが俺にもどうなっているかわからない。


 色も匂いも見た目も全てカレーだ。


 だが、口に入れた瞬間に感じるのはシチューのような滑らかさだ。


 確かに具材はカレーもシチューも同じだけどどうしてこうなった。


 何度か口に運んで味を確かめてみるものの余計に頭が混乱してくる。


 そうか。


 香辛料の辛さが全く感じられないんだ。


「どうだ、なかなか面白い味だろう。見た目はもっと濃い味を想像してしまうが実際口に入れるとなめらかな味わいだ。このギャップが癖になるんだな。」


「これはなんていうかギャップがありすぎて混乱してしまいそうですね。」


「作った本人に言わせればこんなものはカレーじゃない、シチューだと怒っていたのですがどう改良してもこの味から先に進まず最終的にこの味に落ち着いたそうです。なので名前は元いた世界からとってカレィシチューだと。」


 なるほど。


 やはりあれだけ大量の香辛料を手配することはやはり不可能だったか。


 ならわざわざカレーにしなくてもシチューでよかったんではないだろうか。


 小麦と牛乳があれば美味しいクリームシチューが作れたと思うんだが・・・。


「お前も確か異世界の出身だったな、やはり覚えのある味なのか?」


「そうですね、答えはすべて作った本人がだしているようですが元いた世界の料理に似ています。カレーとシチュー、二つの料理が合わさるとおそらくこうなるのでしょう。」


「そうですか、私としては非常に美味しい料理だと思っていたのですがまだまだ改良が足らないんですね。」


「カレーという料理は大量かつ多種類の香辛料を混ぜ合わせて作っています。恐らくこの世界にある香辛料の種類が足りないのでしょう。これはこれで十分名物にしていいと思いますよ。」


 今度本物のシチューを作ってみよう。


 ホワイトシチューなら俺にも作ることはできそうだし。


「それじゃあ行くか、次来るときはちゃんと入り口閉めとけよ。」


「十分言い聞かせておきますので、どうもありがとうございました。」


 カレィシチューをたっぷりと堪能し、料理長に見送られて廃墟を後にする。


 地下にいるとダンジョンと同じで時間感覚がわからなくなるが、まだまだ陽は高いようだ。


「それじゃあ次はお待ちかねのあそこだな。」


「お待ちかねかどうかはさておき、次も裏の店なわけですね。」


「半分は裏で半分は表だ。」


 だからどっちなんだって。


 それ以上のヒントを貰う事が出来なかったので確認のしようがない。


 料理長とコッペンがお勧めする男なら行く場所。


 先程同様に裏の道をあっちこっちとおりぬけながら目的の場所へと向かう。


 腹ごなしが終わった頃とうとうその場所についた。


「飯を食った後といえばここしかないだろ。」


 前回は夜だったのでなんとなくしかわからなかったが、この看板を見て分かった。


 見覚えのある猫の看板。


 そう、ここは猫目館。


 先日、噂だけを流すために訪れたサンサトロール一の娼館だ。


「一度はここの噂を聞いた頃はあるだろ。」


「サンサトローズ一の娼館と言えば猫目館でしたね。」


「その通り、飯を食った後はスッキリする。これしかないだろ。」


 いや確かにこの世界に来てからご無沙汰なわけで。


 結婚したとはいえそういう関係になるはずもなく、ぶっちゃけ溜まってる。


 エミリアがいる手前一人でするわけにもいかないし、やることが多すぎてそっちの方に気を向けていられなかったっていうのもある。


「ですがさすがに奥さんがいてここはまずいでしょう。」


「これぐらいで怒るようじゃ肝っ玉が小さいだろ、いやついてないか。」


「そういう問題ではなくてですね。」


「なんだまさか未経験か?」


「そんなわけないでしょう。」


「だよな、じゃあきまりだ!」


 俺の躊躇を気にすることもなくコッペンは中に入っていく。


 ここに立ち続けているのも見た目にあれだし行くしかないか。


 日中にもかかわらず猫目館の中はあのクラクラする匂いが充満していた。


 お香の匂いだと思うんだけど結構きつい。


 だけど嫌いじゃないにおいだ。


「ここの匂いには男を元気にする効果があるんだとさ、夕方までたっぷりと堪能するんだな。」


「ここまで来て今更どうのこうの言いませんよ、支払いは任せましたからね。」


「その意気だ、金の事は心配するな俺のおごりだ。」


 背中をバシっと叩かれコッペンが大きく笑う。


 折角だからスッキリとさせてもらおう。


 なにがって?


 大きくなったらわかるよな。


「これはこれはコッペン様ようこそおいで下さいました。」


「早い時間から悪いな支配人。」


「何を仰いますやら、この猫目館どの時間でも皆さんをお迎えできる準備はできていますよ。それで、こちらの方は?」


「噂のイナバシュウイチってやつだ。名前ぐらいは聞いたことあるだろ?」


「あぁ、あのアリ殺しの英雄様ですね。」


 そんな通り名もついているのかよ。


 確かに事実だけどもう少しカッコいい言い方とかなかったのかよ。


「今日はお世話になります。」


「もっと剛毅な方だと思っていましたが思っていた以上に細い方ですね。」


「こいつの場合はここが普通と違うんだそうだ。」


 コッペンが頭を指さしながら答える。


 失礼な、ごく普通の人間と同じですよ。


 まぁそっちの知識が無駄に多いってことは否定しませんけどね。


「コッペン様はいつものでよろしいですか?」


「なんだもう起きているのか。」


「コッペン様が来たと伝えましたから、今頃急いで支度をしておると思いますよ。」


 ご指名さんがいるわけか。


 江戸時代の色町のように一人を指名したらそれ以外は許されないとかそういうシステムだったりして。


 浮気をするとその桶屋中の女から折檻されるとか何とか。


 身ぐるみ剥されてボコボコにされて捨てられることもあったそうだ。


 その方が関係が深まっていいと思うけどね。


「イナバ様は何かご希望はございますか?」


「特にありませんのでお任せします。ただ、夕刻には出ますので時間が来ましたら教えてください。」


「畏まりました、時間になりましたらお呼びいたしますのでどうぞごゆっくり。」


 コッペンを先頭に店の奥へと進んでいく。


 朱色の床と壁、扉は固く閉じられおり中からの音は聞こえてこない。


「イナバ様はこちらでお願いします。」


 今まで通過してきた扉よりも少しだけ大きな扉の前で止められる。


「それじゃあ俺はここまでだ。宣伝の件後は任せてくれ。」


「よろしくお願いしますよ。」


 コッペンはさらに奥へ、俺は部屋の中へと別れた。


 中はシックな感じで白壁と黒い家具がいい味を出している。


 ラ〇ホテルのようにせまい感じではなく普通のホテルのようだ。


 中に入るとすぐに外から声が聞こえてくる。


「イナバ様、失礼いたします。」


「どうぞお入りください。」


 好みじゃなかったらチェンジとか言っていいのかなとか思っていた瞬間が俺にもありました。


「はじめまして、ニケと申します。」


 現れたその美女はそんなことを言うのもおこがましいぐらいに素敵だった。


 なんていうか俺なんかが相手で申し訳ないぐらい。


 細すぎず、肉付きも良く。


 出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいてそれでいて柔らかそう。


 年齢はわからないが恐らく年下だろう。


「イナバですはじめまして。」


「あのイナバ様のお相手ができて本当に光栄です。」


「私はただのイナバですから特に特別ではありませんよ。」


「面白い方ですね、普通はもっと威張る方が多いのに。」


「威張れるほど自分では何もしていませんからね。」


 何せ他力本願100%でここまで来ている。


 通り名はもうこれでいいんじゃないかな。


 他力本願100%のイナバシュウイチ。


 これで決まりでしょ。


「お時間が少ないと伺っています。」


「申し訳ありません、夕刻には戻らないといけませんので。」


「ではその一時だけでも、現実を忘れてお楽しみください。」


 入り口からこちらに進みながら見せつけるように衣服を一枚ずつ脱いでいく。


 そして肌が触れるほんの少し前に、身に纏う全てのものが床へと落ちた。


「明かりを消してくださいますか?」


 彼女の手が俺の肩に触れ、耳元でそうささやかれる。


 部屋の明かりが消えると同時に二人の距離は0になった。



 そして時は流れて。


「イナバ様お時間でございます。」


 ドアの外から声が聞こえてきた。


「ありがとうございました。」


 何も身に着けずシーツに身を隠した女性に声をかけた。


「せっかくお誘いしましたのに本当に良かったのですか?」


「決して貴女が嫌だったわけではありません。ですが、私を待っている人を裏切れませんので。」


「そういう所も噂通りなんですね。」


 おや、そんな噂があったのか。


「参考までにどんな噂かお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「誰にでも優しくそして頼もしい男の方だと聞いております。」


「それはきっと、ただの噂ですよ。」


 服を整えて部屋を後にする。


 何があったかはご想像にお任せするが、名誉のために言うならば待っている人を裏切れなかったという事だけ。


 こういう考えでハーレムとか言ってるのが矛盾しているんだよね。


 赤いジャケットの盗賊のようにがっつりいかなきゃ。


 あ、あの人は一途か。


 なら、街の掃除屋のほうかな。


「イナバ様本日はありがとうございました。」


「こちらこそ、素敵な時間をありがとうございました。」


「よろしければまたお越しくださいませ。」


 たぶん来ることはもうないと思うな。


 用事がなければね。


 猫目館を出ると陽がちょうど傾きだす頃だった。


 大通りへ向かい、そのまま騎士団詰め所を目指す。


 詰所の前にはエミリア達が待っている。


「お待たせしました、ずいぶん待ちましたか?」


「先ほどついたところですので大丈夫ですよ。」


「ご主人様、街とは非常に楽しい場所なのですね。」


「ユーリも楽しめたようでよかった。」


 そんなに待たせてない様で良かった。


「あれ、この香りは・・・。」


 ふとエミリアが首筋に近づいてくる。


 ファブ〇ースとかないし匂い残ったままだったか。


 決してやましいことはしていないのだが、夜叉となったエミリアを知っているので思わず身が固くなる。


「香辛料の香りですね、シュウイチさん何か美味しいものを食べてきたのではないのでしょうか。」


「コッペンさんに連れられて、美味しい料理をいただいてしまいました。」


「ご主人様その料理はどういう料理なのでしょうか。」


 料理という単語にユーリが素早く反応する。


「カレィシチューという料理だそうです。」


「知らない料理ですね、一度食べてみたいのですが。」


「お店の場所は教えてくれなかったんだ。代わりにシチューだったら今度作ってあげるね。」


「ぜひお願いいたします。」


 なるほど、カレィシチューを食べさせたのはこういう理由だったのか。


 香辛料を摂取すると汗からその匂いが出るっていうもんな。


 よかった。


 あの夜叉は二度とご免だ。


「ではシルビア様を迎えに行きましょうか。」


「そうですねお待ちになっていると思います。」


 三人で詰所の中へと向かっていく。


「シュウイチさん。」


 ふとエミリアに呼び止められた。


「接待なら致し方ありませんが、今度そういうお店に行ったら許しませんからね。」


「・・・肝に銘じておきます。」


「・・・今日は白鷺亭にお泊りです。」


「え、どうして?」


 ばれてた。


 ばれてたけど、怒っていなかった。


 いや、怒っていても表に出していないだけかもしれない。


 でもなぜ泊まって帰るのだろうか。


「どうしてって、その、なんでもありません!」


「いや別にいいんだけど、エミリア?」


「・・・いつになったらキスしてくれるんですか。」


 かき消えるような小さな声でエミリアがそう言った。


 そして真っ赤になってうつむいてしまう。


 そりゃそうか、嫉妬しないわけないよな。


「ごめんねエミリア。」


「もう、恥ずかしいこと言わせないでください。」


 怒った顔でユーリのそばまで走って行ってしまった。


 やっぱり二度と行きません。


 そう誓った。


 でもエミリア、一つだけ良いかな。


 キスだけで宿泊はちょっと行きすぎだと思うな。


 別の事おもいついちゃったじゃないか。


 欲求不満気味サラリーマン31歳。


 中身はもう、オヤジである。





色気のあるシーンを書きたかったのですが、エミリアを裏切れませんでした。

期待した方どうも申し訳ありません。


そういうシーンはまたいずれ。

もう少し彼女達と親密になってからの予定です。

書く気はあります。

あるんですけど・・・そこまで行くのにどれだけかかるのやら。

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