表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[第一部完結]サラリーマンが異世界でダンジョンの店長になったワケ  作者: エルリア
第二十一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

595/676

そして和平は為された・・・(尊い犠牲によって)

さすがに半日国王が見当たらないと問題になる。


逃走初日の昼過ぎには王城で動きがあり、俺が脱走したことも発覚、即座に追跡が開始された。


もちろんそれは想定の範囲内なので、情報の錯乱が行われ実際に追手が出されたのはその日の夕刻。


そのころ俺達は三度目の乗り継ぎを行い、中央付近まで逃げていた。


連日の強行軍は体に差し支えるということで、これまた極秘裏に準備されていた民家で一泊して夕刻前に国境最前線の街、アミルトンに到着することができた。


「ここがアミルトンですか。」


「ここから国境までは一刻もかからない。最前線の街といえるだろう。」


「思ったよりも栄えていますね。」


「見た目はな。だが国境が封鎖された今、見ての通り人はほとんどいない。店は開店休業でいかに旅人に依存していたかが分かる。」


馬上から見る限りぶっちゃけ王都に次いで栄えていそうな雰囲気だ。


だがミハエル王子の言葉通り、見た目には石造りの立派な建物が並んでいるが、通りを歩く人はほとんどいなかった。


魔物が入ってこない様に2mほどの塀で囲まれているものの、サンサトローズほどの堅牢なものではない。


むしろうちの村のほうが木製ながら頑丈じゃないかと疑うぐらい薄い壁だった。


突然現れた馬車に住民が奇異の目を向けてくる。


国王と王子とは気づかないのだろう。


「誰が王族かすらわからないような状況だ、まったく嘆かわしい。」


「それは父上が辺境に手を差し出さなかったからです。自助に頼り公助を怠ったツケと言えるでしょう。」


「自分で何とかなるのならばそれで良い。お前はいい顔ばかりしていた前王が全てに手を出した結果国庫が空になったのを忘れたのか?金が無ければ助けを求める国民に手を差し伸べる事すらできん。」


「だからと言って無視するわけにはいきません。」


また始まったとばかりにゴリアさんが明後日の方向を向く。


この二日でわかったのはこの人がかなりの苦労人ということだ。


この国王ありてこの王子あり。


俺が言うのもアレだけどミハエル王子もなかなかに癖があるよな。


「まぁまぁ、国境まではあと少しです。向こうも準備をしているでしょうし急ぎ向かいましょう。」


「その通りです。殿下、今は抑えてください。」


「この件はまたいずれ。」


「いずれがあればの話だがな。」


はいはい、次行きますよ~。


馬車を走らせアミルトンの街を一気に通過する。


国境まではあと少しだ。


緩やかな坂を駆け上がる途中で、突然黒煙が視界に飛び込んできた。


坂の向こう側。


国境があると思われる付近からだろうか。


「嫌な予感がします、急ぎましょう。」


「ゴリア!」


「みなさんしっかり捕まって下さい!」


ゴリアさんが手綱を激しく動かし、馬が一気に速度を上げる。


ガタガタと大きく揺れる荷台から落とされないよう、しっかりと座席をつかんだ。


坂を駆け上がり見えてきたのは国境に布陣する兵士達。


漢字の『三』のように横長に整列し、その最前列で何かが燃やされている。


国境の反対側はどうなっているんだろうか。


木製の砦の戸は閉鎖されているため向こう側を見ることはできなかった。


「今にもという感じじゃないですか。」


「まったく、国旗を燃やすなど言語道断だぞ。」


「相手を挑発しているのでしょう、常套手段です。」


「どちらが先に手を出すのか、我慢比べって感じですか。」


まだ血は流れていない。


なら止められる。


馬車は猛スピードで布陣する兵士たちに近づいていく。


こちらの存在に気付いた別の兵士達が武器を手に近づいてきた。


「止まれ!私は王城近衛団ゴリアである!部隊長はどこか!」


「こ、これはゴリア様!」


「おい、横にいるのは・・・。」


「ミハエル王子までいるぞ。」


兵士たちに動揺が走る。


「速やかに武器を下ろし後退しろ!これ以上の挑発行為はこの私が許さん!」


ミハエル王子が高らかに宣言するのと同時に陣の最後尾に向かって伝令が駆ける。


ほどなく王子の宣言通り武器は降ろされ、日暮れを前に国境に布陣していた兵士たちは撤退を始めた。


何とか間に合ったようだ。


「これで一段落・・・とはいきませんね。」


「むしろここからが本番だ。申し訳ないがイナバ様にはもう少し付き合ってもらうぞ。」


「その為に来ましたから、それに強行軍は慣れています。」


「心強い。」


兵士たちにはゴリアさんが事情を説明している。


不満はあるだろうがこの国のワンツーが揃っている中でそれを口に出す奴はいなかった。


「隣国側から緑の旗が揚がっております!」


「向こうの用意はできているようですね、行きましょう。」


「行くといいますと?」


「緑の旗は停戦の告知です。向こうから使者が出ますからこちらも使者を立てるのです。」


「なるほど。」


「交渉には私が行く、ゴリアはここに残れ。」


「ですが!」


「イナバ様も一緒に来てくれるか?」


「むしろこちらからお願いします。むこうも私の顔を見れば安心するでしょう。」


別に戦争しに来たわけじゃない。


戦いも起きていないわけだし停戦もくそもないんだけど、一応形式上そうなっているんだろう。


この状況で武器を構えてくる人はいないはずだ。


簡易の天幕から出て国境へ向かうと、砦の戸が開き向こうからも誰かが出てきた。


出てきたのは小さな影。


ですよねー、貴女しかいませんよね。


ちょうど中間付近まで来てお互いに立ち止まる。


「どうも昨日ぶりですね、メルクリアさん。」


「誰が行くかで揉めたけど何とか勝ち取ったわ。」


「揉めたんですか?」


「プロンプト様がね、行くって言ってきかなかったのよ。」


「あ~・・・。」


なんとなく察した。


他にも数名行きたいという人がいるんだろう。


それが誰かもなんとなくわかる。


「でも、そこはつっ妻である私が勝ち取ったわ。」


「いや、そこは自信満々に言いましょうよ。」


「仕方ないでしょ、言いなれないんだから。」


こんな状況でもいつもと変わらない感じが心地いい。


「まったく停戦の場で夫婦喧嘩など前代未聞だな。」


「も、申し訳ありません。」


「元々戦う気なんてないんだからこれぐらいでいいのよ。」


「それもそうだな。だがとりあえず形はとらねばならん、握手をして頂けるか?」


ミハエル王子の伸ばした右手を、メルクリア女史がしっかりと握り返す。


これにて停戦はなされた。


両国境から歓声が上がる。


でも、ここからが大変だぞ。


一度解散したのち、先程握手した場所に簡易の天幕が設置される。


簡易といっても10人ぐらいは中に入れるような大掛かりな奴だ。


どこから持ってきたんだろうか。


それを囲うようにして両国の兵士が警備にあたる。


天幕の中心にはこれまたどこから持ってきたのか大きな机が二つ。


そして向かい合うようにして両国の偉い人が陣取ったんだけど・・・。


「予想以上の方が来られていませんかね。」


「そんなことないわ、百数十年ぶりの戦争を回避したんだもの当然の人選よ。」


「それだけ貴方の存在がこの国にとって大切って事よ、わかってくれたかしら。」


俺の前に座っているのはメルクリア女史、そしてお久しぶりのガスターシャ氏。


ここまでではいい。


「それはもう十分に理解致しました。」


「わかってもらって何よりだ。」


そしてその二人を左右に控えさせ、まさかのリガード様が中央に鎮座されている。


何でこの人ががこんな場所に?って、今のが答えだったわけだけども。


国王陛下が自ら停戦交渉に出てくるとは流石のミハエル王子も思っていなかったんだろう。


いつもの余裕は一切見えなかった。


ちなみにハーキネン王国はミハエル王子を中心に、左にゴリアさん右に俺が座ってる。


そしてここからは見えないが少し離れた所にイジェル陛下が手を縛られた状態で座っていた。


「お久しぶりでございます、リガード陛下。この度は誠に申し訳ありませんでした。」


「こういう場で再び見える事になるとは思いもしなかったが・・・、彼が関係しているのであればそういう導きなのだろう。」


「今回はとんでもなく大きな問題を持ってきてくれちゃったわね。」


「別に持ってきたくて持ってきたわけでは。」


「それも今回はとっておきの問題じゃない?私もびっくりしちゃったわよ。」


「仕方ないわよ、この男だもの。」


仕方ないですまされてしまうのはなんだかなぁ。


停戦交渉ってもっとピリピリした感じなのかと思っていたけれど、これも俺がいるから仕方ないのだろうか。


「さて軽口はこのぐらいにしてまじめな話をしようじゃないか。その大きな問題をどうするか、そのために我々はここにいるのだ。」


リガード様の一言で場が一気にしまった。


やっぱりうこうでないとね。


静かになった所でミハエル王子が立ち上がり、停戦交渉がはじめられる。


「まず初めに謝罪をさせていただきたい。今回の件は全て我がハーキネン王国に責任があり、横におられるイナバ殿を含め多くの方々に迷惑をかけることとなってしまった。本当に申し訳ない。」


深々と頭を下げるミハエル王子とゴリアさん。


思わず俺も頭を下げそうになったが、ここで俺が頭を下げるのは変なのでぐっとこらえる。


正面の三人もだまってそれを見ているだけだった。


顔を上げた王子が話を続ける。


「今回の件は後ろに控えるわが父イジェルが独断で行ったことであり、国全体が侵略や戦争を望んでいるものではないことをここにお伝えしたい。父が行った事は決して許される事ではないが、全ては我が国を何とかしなければならないという王としての責務が行わせたものだと私は理解している。領土は荒れ、魔物は蔓延り、自分たちの食糧さえ満足に手配できない状況だ。」


ちらっと俺のほうを見て再び話しを始める。


「本来であればこの時点で他国へ助力を願う所なのだが、残念なことにこのような形をとってしまった。だが全ては私と同じく国を思っての事、もちろん許される事ではないのだが決して争いたいわけではないと再度申し上げる。」


そう言って再び頭を下げるミハエル王子。


場がシンと静まり返った。


と思ったら・・・。


「何をバカなことを、とんだ茶番だな。」


と、イジェル国王が我々に聞える声で言う。


だが誰もそれに反応しなかった。


「話は分かった。そちらの置かれた状況は我々でも把握していたが、助力を求められないということは何とかなると思っていたのが本音だ。だが実際はそうではなかった。気づいていながら救いの手を差し出さなかった我々も含め、お互いの今後の為にも色々と手を取り合う時期に来ていると私は思っている。だが、それはあくまでも強制的に連れていかれた人材全員の返還ががなされたらの話だ。」


「そのように思って頂き感謝いたします。そしてそれに関しては全力で取り掛かるとお約束いたします。」


「その言葉を聞いて安心したよ。」


やっとリガード様の表情に柔らかさが戻ってきた。


厳しい顔はあまり見たことなかったのでなんか新鮮だったけどな。


「もちろん即時全員の返還は難しいかもしれませんが、できるだけ早期に実現するよう努力いたします。」


「そのあたりに関しては私が引き継ぐことになっているからよろしくね、元老院副参謀のガスターシャっていうの、アーシャって呼んでね。」


「宜しく頼む、アーシャ殿。」


「ゴリアさんだったわね。私って渋い男の人に目がないの、イロイロ、宜しくお願いね。」


このような場所でもマイペースを崩さないガスターシャ氏。


さすがだ。


そしてそれを見ても動じないゴリアさんもさすがと言えるだろう。


「それで、これからどうするの?」


「そもそも停戦交渉っていうのはこんなにも簡単なものでいいんでしょうか。」


場の空気を呼んで静かにしていた俺達だが、ぶっちゃけここにいること自体がおかしいんだよね。


ただの商人と、商店連合の偉い人。


仮に商家五皇の一員だったとしてもこの場にいることがそもそもおかしい。


「誤解しているようだが、そもそも我々は戦争しているわけではない。だからこれは停戦交渉などではなくただの話し合いである。そうだな、ミハエル王子。」


「リガード陛下がそうおっしゃるのであればそうなのでしょう。これは両国の今後の為の話し合い、ということですイナバ殿。」


あ、そうですか・・・。


てっきり停戦交渉だと思ったんですけど、俺の勘違いだったわけね。


なるほどなるほど。


って、じゃあさっきの緑の旗はなんだったのよ。


「これがただの話し合いか。」


「えぇ、その通り。本来であればもう少しまともな形でお会い出来ればよかったのですがね、イジェル陛下。」


「ふん、そちらにとってもいいきっかけだったのではないか?」


「きっかけ?」


「侵略に決まっている。軍部にそのような考えが出ていたのを知らないとは言わせんぞ。」


「考えが出ていても行動に移さなければ戯言に過ぎない。私は話し合いという行動を選んだだけですよ。」


「そいつのようによく回る口だ。」


そいつってどいつですかねぇ。


わからないなぁ。


「父上の処罰は事が落ち着いてから改めて行います故、今はお許しください。」


「寛大な処罰を期待する、国を思う気持ちは私も良くわかる。」


「ありがとうございます。」


「お前が私を裁くのか?」


「王都では父上の罷免が可決された所です。戻った所で王座に居場所はありませんよ。」


「そしてお前がそこに座るのか。」


「このような形で座る事になるとは思いませんでしたがね。」


ほぉ、そんなことが起きていたのか。


それってむしろこんな所で話し合いをしている場合じゃないんじゃないですかね。


本人が居ないからいいの?


自分の椅子が無くなると聞き、がっくりとうなだれるイジェル陛下。


あー、うん、気持ちは分かるが自業自得だ。


それだけの事をしたんだから。


国王を退くというのも責任の一つになるんだろうな。


「これから忙しくなるようだな。」


「とはいえ、優先するべきは本件です。その手始めとして、イナバ殿の身柄をお返ししたいのですが・・・。」


「それなんですが提案があります。」


その手始めが始まる前に空気を読まない俺が流れをぶった切りますよっと。


「ちょっと貴方何を言うつもり?」


「話し合いは無事に終わりそうですが、そもそもの中身が解決していませんよね。」


「中身とは?」


「事の発端は国土の荒廃、それを解決しなければ話は始まらないのでは?」


「それはもちろんだが・・・。」


「折角回復するための道筋が出来ていたのに、人を返せばまた元に戻ってしまいます。」


「つまり、イナバ様はそれを何とかするべきと言っているのね?そしてもちろんそれに関しての考えもあると。」


さすがガスターシャ氏、理解が早い。


俺はこの間イジェル国王に力説した案を再び説明した。


人を派遣し、旗艦となる場所を作りそこを足掛かりに開発を進める。


人を返すのは前提として、その後の事を考えておかなければ結局は元に戻ってしまう。


イジェル国王だって、ただ人を攫いたかったわけじゃない。


苦しむ国民をどうにか救いたくてやった事なのだ。


まぁ、やり方が悪かったんだけどね。


「つまり、希望者を募って街を一つ作ってしまおうって事なのね?」


「ここから一刻程の所にアミルトンという街が有ります、国境に近いだけあって宿泊場所などもそろっていますし一から作るよりも簡単に始めることが出来るでしょう。ギルドに協力を仰げばすぐに動くことも可能です、人が足りないのならばある所から派遣すればいいじゃありませんか。」


「話は分かった。だがそれでは我々に利が無い。」


「利無しで人は動かず。もちろんそれも承知の上ですが、いきなり儲けろというのも無理な話。実際この国には問題が多すぎる、そしてその一番の原因が・・・。」


「魔物ってわけね。」


メルクリア女史がニヤリと笑う。


あ、これは金儲けの匂いを関知した時の目だ。


この人も商人の端くれ、儲け話に勘づかないわけがない。


「私が調べたところによると、問題の魔物さえ減らすことが出来れば物流も食糧自給率も回復します。もちろん回復するまでは食糧供給をお願いする必要はありますが、二年もあれば軌道に乗ると考えています。」


「二年か・・・。」


「食糧を安く供給して頂く代わりに、ハーキネン王国は魔物の素材を安く提供しましょう。幸い素材となる魔物はそこら中にいますし、未踏破のダンジョンもいくつかあります。冒険者からすれば夢のような土地ですよ、ここは。事実これまでも多くの冒険者がやって来ていますよね?」


「国境の記録を見る限りでは毎年かなりの人数が出入りしているわ。」


「でも面倒なのが素材の輸送なんです。いくら手軽に手に入ってもそれを手軽に処分できず、いちいち国に持って帰らねばならなかった。これでは行きたくても二の足を踏むというものです。」


「その点、身近なところで換金できるのであれば安心して魔物を狩れるってわけね。」


「そして冒険者が増えればお金が落ちます。」


メルクリア様のようにニヤリと笑う。


その顔を見てリガード様もニヤリと笑った。


「その金で儲けようというわけか。」


「余り思い出したくない人の言葉ですが、冒険者を良く思ってない人もいるんですよね。その原因が素行の良くない冒険者なんですけど、彼らが求めているのは冒険とお金、その両方が手に入るのなら喜んで来てくれると思うんです。彼らはお金を、我々は素材と平和を、そしてこちらは魔物の駆除を。三方丸く収まる為にも、彼らを統率するギルドは必須です。ちなみに商品の卸や販売を我々スマート商店連合にお任せいただけると非常に助かります、ねぇメルクリアさん。」


「そうね。でも、そんな都合のいい人材いると思う?」


ですよねー、そんな人そう簡単に見つかるわけ・・・。


「いるではないか、目の前に。」


「え?」


「冒険者に顔が利き、さらには今の状況を一番把握していて、物流をも管理しうる人物。そんなことが出来るのはイナバ様しかいないわね。自ら志願するだなんて、さすが言い出しっぺなだけあるわ、惚れちゃいそう。」


いや、惚れちゃいそうって・・・。


あれー?


どうしてこうなった?


そんな事になったらこの前の単身赴任レベルの話じゃなくなるぞ。


二年。


二年家に帰れないとか、絶対に無理だ。


「貴方、こうなるのが分かって発言したのよね?」


俺が急にオロオロしだしたのに気づいたのだろう、メルクリア女史が信じられないと言った顔でこちらを見てくる。


「しかし、二年か。それだけ居なくなると私も隠居していられんな。」


「隠居するだなんて、陛下も冗談がお好きなんですから。」


「本当によろしいのですか?こちらとしてはイナバ様に来ていただけるのであれば非常に助かりますが・・・。」


いかん、こんな流れになるのはさすがに想定していなかった。


個人的にはその辺の細かな人選なんかは任されるつもりでいたけれど、自分が行くことになるとは・・・。


ここは究極の方法で行くしかない。


ってか、それしかない。


「半年、半年で形を作って見せます。ですが私がいつまでも関わっては今後に差し支えますから、そこから先はハーキネン王国にお任せしますね。」


半年の単身赴任、ここに確定。


そして半年で結果を出さないといけない超ハードモードも確定。


いくら高難易度のゲームが好きだからって、自分でもこれは馬鹿だと思う。


「自分の目標もあるんだから、サボるんじゃないわよ。あと、エミリア達になんていうかよく考えておくことね。」


「お手伝い宜しくお願いします。」


メルクリア女史の呆れたような言葉に、そういうの返すのが精一杯だった。


そんな俺をよそに、ミハエル王子とリガード国王ががっしりと握手を交わす。


交渉成立。


一触即発の事態は回避されるのだった。


俺という尊い犠牲によって。

彼は尊い犠牲になったのだ。

これにて問題は無事に解決?

いえいえ、ここからが大変なんです。

時間制限有りの超高難易度モード。

いくらドMゲーマーと言えども縛りすぎは体に毒ですよ。

でも大丈夫、彼ならきっとやってくれます。


次回は番外編を挟んでハーキネン王国編開始です。

新たな彼の戦いにご期待ください(打ち切りではありません)

ここまでお読みいただきありがとうございました。

また次回もよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ