どうして私を嫌うの?
私は3姉妹の真ん中 次女として産まれた。3つ上の姉と同じ年の双子の妹がいる。姉とは子供の頃からとにかく仲が悪かった。しょっちゅう殺し合いのケンカをしてた。何が原因かは忘れたが、姉にテープカッターを投げつけたり、学校のプリントを水でぐちゃぐちゃにしたりしたのを覚えてる。一度 台所に包丁を並べて家族を威嚇したこともあった。実際には誰も傷付けてないけど、家族は引いてた。大人になった今でも「あんなことあったね」と言われる。今となってはある意味ネタだ。「私が異常だ」というネタ。双子の相方とは二卵性双生児で全く似てない。見た目も性格も正反対。同じ年だから、「双子の妹」と言われるのを嫌っていた。私がどちらかというとおとなしいタイプだったのに対して、妹は明るくて皆から好かれていた。妹は小柄で可愛かった。
母は表面的には優しいが、起伏が激しくいつも父と口喧嘩をしていた。口喧嘩といっても、母が一方的に愚痴って、それを父が「はいはい、分かったから、俺が悪かった」と謝る。母はいつも父の愚痴を言っていた。父はいつも我慢していた。母は私のことも毛嫌いしていた。「双子の妹が小柄なのは、お腹の中にいた頃からあなたが妹の分まで栄養を取ってしまっていたからよ。あなたがいつも妹を蹴っていたのよ。」と笑顔で言ってくる。「おっぱいあげててもあなたが妹の分まで飲んじゃうし」と。妹は小さく産まれて少し身体が弱かった。一方 私は「あなたは丈夫だから」そう言われ続けて、ツラい時にもツラいとは言えなかった。私は弱っちゃいけないんだ。そう洗脳されていた。
父はなんでも出来る心強い父だった。時々志村けんのマネをして皆を笑わせようとしてくれた。そんな父も私を毛嫌いしていた。母とは違って「嫌いなものは嫌い」と顔に描いてあった。「そもそもお前の性格が嫌い。生理的にウザイ。」そんな心の声が聞こえてきた。でも授業参観にはいつも父が来てくれた。双子の妹の方には母と決まっていた。そんなある日 親が子供の似顔絵を描くという、残酷な授業があった。今の時代なら考えられない。その時描いてもらった似顔絵が私は嫌だった。みんな可愛い絵を描いてもらってる中、やけにリアルな描写の可愛くない似顔絵だった。そんな父も私に対しては厳しかった。小学校5年生の夏、友達と遊んで帰るのが遅くなったことがあった。玄関を開けるなり父に思いっきりビンタされた。今でも鮮明に覚えてる。今となっては心配してくれてたのかなとも思えるが、当時はすごく辛かった。
そんな家族に囲まれて、私はホントに姉妹なのか?この家の子なのか?と小さい頃から嫌なことばかり考えていた。生後10ヶ月の時には歩き始め、1歳の頃には姉と妹がベビーカーに乗り、私は歩いていた。本当に私が歩きたくて歩いていたのか。内心そんな風に感じていた。「あなたは橋の下から拾ってきたの」ある時 母から言われた言葉だ。私はしばらくそれを信じて、ますます自分を押し殺すようになっていた。母はそんなことを言ったことすら覚えていないだろう。
姉妹も親もあからさまに私に対する態度が冷たかった。口をおさえて笑っただけで、「なにその笑い方!」「キモい!」とバカにされ罵られた。幼稚園の頃から「あなたの友達は性格が悪い」と、友達まで否定された。
私はそんな家族が嫌いだった。
自分のことはもっと嫌いだった。