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ゲームマスター  作者: 莉猫。
1/4

第一話

初の連載小説です。

俺は空気だ。




そこにいない訳でもなく、いる訳でもなく。

ただ普通に空気としてぼーっとしてているだけ。教師の声も隣の奴の寝息も耳に入ってこない。

はぁ、退屈だ


どっか遊びに行きてえ。

ゲーセンとか、駄菓子屋とかマックとか、行きたい場所は腐るほどある。なのに俺はこんな退屈な授業をして聞きたくもない生徒と先生の話を聞いている。

あー、暇


小さくため息を吐いた。すると

「ん...寝てた?」


隣...濱太 悟〈はまださとる〉が欠伸していた。ふぁ、とか言って

そして小声で話してくる。


「なぁ、楓。今日の昼休みはサッカーやろーな」

「ああ...頭痛いから遅れてもいいか?」


M高校の1年1組 城崎悠哉が俺に話し掛けてきた


成績は中の上、目にかかるくらいの黒髪にこれまた目つきの悪い顔つきをしている男。

でもどちらかと言えばイケメン。


ちなみに俺の同級生であり、ただの友達だ。


あと暗い俺と違って明るいからよくモテる。

確か中学生の頃は色んな女と付き合ってたっけ


でもM高校に入ってから女子の人気はほとんど

皆無になった。


顔のレベルが高すぎたんだ。





例えば、俺の目と鼻の先にいる女

橋口 麗奈


低身長で成績も特によくないが、先生からの支持は絶大。

今も机に足を掛けているくらいだ。


おまけにツリ目、毒舌。

にも関わらずこのクラスの中心として平然としている。

いわゆる女子の中で逆らっちゃいけない女子だ。

顔も整ってるし。

...馬鹿だけど。


いつも仲間に囲まれている所を見ると何となく劣等感に悶えてしまう。まぁ、しょうがないけどさ

髪色は黒髪、片方を三つ編み赤リボンで留めている

ギリギリ過ぎてアウトかどうかも分からないけど

前髪は目にかかってないんだな。


おまけに制服のスカートは膝よりも上、見えそうだ。




その隣にいるイケメンも同様。

こっちは茶髪、ある会社のボンボン君

なに食わぬ顔で飄飄と生きて来ましたっていう

人生の勝ち組軍団。


そのイケメンを囲んで女共が群がっていた。

橋口の周りにはいつものようにリア充軍団が出来ている


そして肝心の俺はというと

木山 楓 16歳

彼女いない歴=年齢、容姿は普通。まだ童貞


母さんから貰った無駄にカッコいい名前「楓」を

目茶苦茶恨んでいる。

それも、この橋口のせいなんだけどさ。

入学式早々イケメンだと思われて自己紹介で散々

恥ずかしい思いをした。全ては楓のせいだ。


第一印象「気持ち悪い」「童貞」



なんで?オタクっぽい趣味は一切ないのに

強いて言えば俺より悠哉の方がエ〇ゲの知識が豊富だぞ


いや、逆だ。

話しかけづらいという雰囲気が、俺をオタクへと

仕立て上げているのだ。

外見って言うのは恐ろしい。

一方中身も恐ろしい。



て、こんな愚痴 誰も聞きたくないよな。

スローで重い腰を起こし、立ち上がった。

窓ぎわの席って気持ちいいけど眠くなるんだよなぁー...


机を触り、教室の出口へと向かった。

席が後ろとやたら距離が近いことにイラつく

歩きにくいんだよ


しかし体を動かしたのも約4時間ぶりだな

ずっと座ってたし。



「ぷふっ」


ふと耳に入るリア充グループの笑い声

橋口麗奈だろうな


「見て、重たそうに立ち上がった」


俺を見て笑うやつら。さっきのイケメンと周りの女達

うるせえ、無視だ無視


1年1組のメンバーは最悪だ

どいつもこいつも馬鹿ばかり。


あと、リア充とそうでない奴が分かれすぎ。

俺はリア充軍団に一度も顔を見せることなく、

悠哉の元へ向かった。





階段の下で悠哉達がサッカーをしている。

俺なしでもう始まったのか


昨日は雨だったというのに、運動場は渇いた砂の色をしている

アスファルトにいる俺を誘うかのように。


悠哉達はちょうど俺の近くにいた。



M高校はやけに広い。プールに体育館二つに

球技用運動場、陸上専用の運動場。小さいけど。

これ私立の方がいいんじゃねえの?

金も掛かるだろうしさ



ここに来てまで重い足取りの俺に、悠哉から「楓ーっ」

という声が掛かってきた。

良かった、気付かれて


でも途中参加って何となく気まずいな...

言葉自体も情けない感じだし、これといって

期待してました感がない。



しかも相手はこの俺だ。

期待もクソもない。

いかにも空気ですって感じだけど

「楓、お前遅いぞ! トイレでやるべき事やって来たか?」


ったく、うるせえ奴。




「黙れエ〇ゲ野郎。早く行くぞ」


「ああ、早く来い」



サッカーねぇ。

あまり得意じゃないんだな


暇潰しになるから良いけどさ。




そんな俺を1年1組の窓から見る者がいた。

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