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プロローグ
小さいころから、ずっとそんな環境で育ってきて、自然と好きになった。
響く歌声、心震える演奏。
いつ見ても、そんな世界はきらきらと輝いていた。
いつか自分も、あんなステージに上がりたい。
彼らのように彼女らのように、人を感動させ、人を幸せにする、そんな演奏を、そんな歌を、いつか自分でできたらいいな……
「お疲れー」
生徒会室という名前の札が書かれた教室の扉を開き、中で仕事をする生徒たちに声をかける。
『副会長』という腕章をつけた生徒は、中に入ろうとしたが歩みを止めた。
向かい側、大きな扉を背にするほかの机よりも大きな机には生徒の姿がなかった。
他の席には、生徒たちが山のように詰まれた書類を一つ一つ丁寧に処理しているのに、そこの席には人の姿がない。
「会長は?」
「会長なら、さっき野球部から助っ人頼まれて出て行きましたよ」
その瞬間、何かが切れたかのように彼は叫んだ。
「あの馬鹿会長ぉおおおお!!」
初投稿作品です。なにとぞよろしくお願いします。